福井市中心部まちづくりで「仮想大学」の構想 担い手を創出、県都グランドデザイン骨子発表

県都グランドデザインの骨子などが示された県都にぎわい創生協議会=6月7日、福井県福井市の福井商工会議所ビル

 2024年春の北陸新幹線福井県内延伸を見据えて福井市のまちなかの将来像について協議する福井県、福井市、福井商工会議所の「県都にぎわい創生協議会」は6月7日、今後のまちづくりの方向性をまとめた「県都グランドデザイン」の骨子を発表した。40年を目標年次に三つの領域、九つの目標を設定し、取り組むべき事業を整理。まち全体を大学のキャンパスに見立て、まちづくりの担い手を創出する仕組み「マチナカ大学(仮称)」の構想を新たに盛り込んだ。

 同協議会の第5回会合が同日、同市の福井商工会議所ビルで開かれ、杉本達治知事、東村新一福井市長、同会議所の八木誠一郎会頭が骨子案に合意した。

 JR福井駅から半径約1キロ圏内を対象エリアに、目指すべき将来像を「誰もが主役の、楽しさあふれる県都」と設定。実現に向けて「多様な人々の交流」を誘発し、新たな三つの領域「たのしみ」「くらし」「しごと」を生み出す場を形成していく。各領域の下に三つずつ目標を設け、官民による約60事業を行動計画に位置付けた。

 行動計画の具体化に向けては「県都デザイン推進会議(仮称)」を設置して進捗を確認。新たに「エリアマネジメント組織」を設け、事業実行を支援していく。同組織の中核は、福井市の第三セクターまちづくり福井が担う。

 マチナカ大学の構想は行動計画の事業の一つながら、グランドデザインの軸となる「多様な人々の交流」を生む重要な仕掛け。大学の事務局を担当する福井市の東村市長は「福井の将来担う人たちにさまざまな切り口からアプローチし、育てていく新たな試みになるもの」と強調した。

 同市は、20~30代の有識者やアートディレクター、編集者らによる企画運営チームを既に立ち上げている。2022年夏から中心市街地を舞台に学びや体験、遊びなどのプログラムを学部の講義、部活動、サークル活動などに見立てて展開していく。

 企画運営チームの1人は「マチナカ大学は学びと行動のプラットホーム。既存のまちづくりの取り組みとも積極的に連携し、誰もがまちなかに行けば、新しい価値観を感じ、小さくても行動を起こすきっかけに出合えるようにしたい」と話している。

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