後世に残したいモダニズム名建築に福井神社 コンクリートで神明造り、学術団体「DOCOMOMO」が選出

福井神社の拝殿。鉄筋コンクリートで神明造りの伝統意匠を表現している=福井県福井市大手3丁目

 戦前から戦後、高度成長期のモダニズム建築の保存に取り組む国際学術組織「DOCOMOMO(ドコモモ)」の日本支部は6月6日、後世に残したい名建築リスト「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に2022年度選定した14件を発表した。鉄筋コンクリートの神社建築「福井神社(拝殿、本殿、宝物殿、絵馬殿、大鳥居など8棟)」(福井市大手3丁目)が福井県から初めて選ばれた。

 ドコモモは建築史研究者や建築家、保存修復家らで構成。本部をオランダに置き、世界に77支部ある。日本支部は毎年、幾何学的で無装飾の造形美や設計の合理性、革新性の観点で1920~70年代の名建築を選定している。

 福井神社は57~66年にかけて完成。後に福井大学初の県人学長となる五十嵐直雄(いがらし・ただお)=15~87年、福井県坂井市出身=が同大学建築学科助教授時代に設計した。日本古来の木造の神明造りが鉄筋コンクリートで再構築されており、ドコモモ登録専門委員会は「福井市中心部に現存する最重要の戦後モダニズム建築」と評価した。

© 株式会社福井新聞社