長崎県内 妊婦のコロナ感染急増 出産に影響、自然分娩できない例も

 新型コロナウイルスの流行第6波は妊婦にも及んでいる。長崎県医師会によると、県内では4月末までに175人が感染し、うち8割以上の147人が今年1~4月に集中。医療従事者の感染リスクを伴うため、自然分娩(ぶんべん)できないケースも少なくなく、専門家は引き続き新規感染者数を抑える必要性を強調する。
 37週以降の妊婦が感染した場合は原則、長崎大学病院(長崎市)や佐世保市総合医療センターなど指定された医療機関で帝王切開手術を受ける。陽性だった妊婦のうち、これまで20人が手術を受け、15人が1~4月だった。
 産婦人科医でもある県医師会の森崎正幸会長によると、自然分娩の場合、妊婦と医療従事者は狭い空間で長時間過ごす。その上、深く呼吸をしたり、大きな声を出したりするため、妊婦が陽性の場合、医療従事者の感染リスクが高くなる。
 森崎会長は「自然分娩を希望する人にとっては本当に残念だと思う。ただ、どんなに気を付けても家庭内感染の場合、防ぐのは難しい」と指摘。県内の新規感染者数は落ち着きつつあるが、妊婦や医療従事者を守るためにも感染者数をさらに減らす必要があると強調。「第7波も想定し、基本的な感染対策に加え、できるだけ多くの人に3回目のワクチン接種を受けてほしい」と呼びかける。


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