現場で成果をあげていた多くの営業マンは、なぜ出世すると成果を出せなくなるのか?

情報過多の現代社会で、成功している人はどのように知識をインプットしているのでしょうか?

そこで、ビジネス書作家・岡崎 かつひろ( @zakihalz )氏の著書『お金に困らない人が学んでいること』(すばる舎)より、一部を抜粋・編集して成果に繋がる「インプット」の技術を紹介します。


お金を稼ぐ人の読書法

良質なインプットは、お金に困らない人生を手に入れるための重要なポイントです。

とくに効果的なインプットは「読書」をすることです。なぜなら、 読書はもっとも効果的かつ短時間に、良質な知識を得ることができるからです。

いまの世の中は情報にあふれています。

ブログやFacebookなどテキスト、YouTubeやTikTokなどの動画、VoicyやClubhouseなどの音声、このように情報メディアやSNSは腐るほどあります。手軽に学ぶことができるのはすばらしいことですし、私も活用させてもらっています。

それでもあえて「読書」をおすすめする理由があります。

それは、本には文責があるからです。

私も著者の端くれですから、本をつくる工程をよく見させてもらっています。

著者が経験したことを1冊にまとめていく。まさに石から水を絞り出すような行為です。出し惜しみすることなく、知識や体験を本のなかに詰め込んでいきます。

そして、できあがった文章を、編集や校閲のプロたちが一字一句の修正はもちろん、情報に間違いがないか確認をしていきます。

最近は、個人での電子書籍出版も流行っています。たしかにそれもすばらしいですが、商業出版ほど精度を高めて書かれているものはそう多くありません。 やはり紙の書籍ほど情報がたしかなものはないでしょう。だから読書がおすすめなのです。

書籍というものは、時間と手間と心を込めてつくられていますから、私も読書についてかなりこだわりを持っています。

いまは速読がブームですが、私は速読をしません。1冊1冊、熟読します。

それでも、 普通のビジネス書であれば30分から1時間で読むことが可能です。

よく誤解されますが、速読を学ばなければ本は速く読めない、ということは決してありません。

たとえば、子どものころに読んだ絵本『桃太郎』を、いまもう一度手に取ってみてください。おそらく一瞬で読みきってしまうと思います。なぜなら、どんなストーリーか、どんな言葉が入っているのか、大体のイメージがあるからです。

これと一緒で、 人は知識が入れば入るほど、読むスピードが速くなっていくのです。

逆に言えば私も、どんなにページ数の少ない書籍でも、自分の知らない領域の書籍についてはかなり時間がかかって読むことになります。

速く読めたほうがすごいと言う人もいますが、私は決してそう思いません。

時間をかけて読んでいるということは、それだけ頭を使っているということです。

人間は使ったところが強くなりますから、頭を使っているということは、それだけ優秀になるということ。 長い時間をかけなければ読めないような本に出合うということも、頭のトレーニングには必要なのです。

きれいに読むと、きれいに忘れる

そのうえで、私がすすめている読書法は、本をボロボロにしまくる方法です。

本をきれいに扱いたいという人もいますが、私はそれをおすすめしません。

むしろ、 いかにボロボロにするかにこだわったほうがいいです。

たくさん線を引き、ドッグイヤーし、場合によっては、持ち歩きたいと思うページがあれば破ります。

経験することを何より重要視していると前述しましたが、読書についても、思いっきり自分の印象に残る「体験」にしてしまいましょう。

ボロボロになるまで読んで、見返したときに「そうそう、ここに線を引いたんだよな」と思い返せるように読んでいくのです。

ちなみに、そんなにボロボロにしたら著者に失礼ではないか? と思われる方もいるようですが、そんなことはありません。むしろ著者にとって、ボロボロになるまで読んでもらえることほど嬉しいことはありません。

そして、読んだ書籍の内容はスマホのメモ帳に残すようにしています。

人間の記憶に定着するのは、インプットしたときではなくアウトプットしたときです。書籍を読んだら必ずアウトプットする習慣をつけましょう。

しかし アウトプットするといっても、書評や感想をすべて文字入力していると、時間がかかりすぎてしまいます。だから私は「音声入力」を利用しています。

じつは、この本もほぼ音声入力で最初の原稿を書いています。

特別なアプリなどは使っていません。iPhoneに備えつけの機能です。それで十分、文章にすることができます(もちろん、あとでリライトと推敲はしますが)。

長い文章の場合、書くよりも話したほうがずっと速いので、慣れたら入力速度は何倍にもなるでしょう。

これからは、読書で線を引いた箇所を、音声入力で文字起こししてみましょう。

私の場合、多いときには1冊につき8000字も文字起こしをすることがあります。それでも音声入力ならば、1冊分、線を引いたところをすべて文字起こししても、せいぜい10
分から20分程度でできます。

ボロボロになるまで読んで、音声入力でメモを残す。 そんな読み方をしてみてはいかがでしょうか。

異業種の人と積極的に話して、知識のかけ算をする

異業種の人の話を聞くことで、アイデアがかけ算されて成果が上がったり、悩みが解決したりということはよくあります。

私も先日、長年疑問に感じていたことが、異業種の人の話を聞くことで解決しました。ちなみに、その疑問とは「現場で成果をガンガンあげていた営業マンが、なぜ出世すると成果を出せなくなるのか?」というものでした。

もちろん全員がそういうわけではありませんが、これまで数万人に会ってきた経験から、出世すると仕事ができなくなる人をたくさん見てきました。

これを私は「きっと、出世をすると立場にあぐらをかいてしまって、努力をしなくなるのではないか」程度にしか考えていなかったのです。

しかし、人事コンサル業界のプロフェッショナル神谷悟先生が扱っている「人材アセスメント」という人事コンサルの技術に出会い、この問題は 単にやる気の問題ではなく、必要な能力を身につけていないことが原因であるということに、初めて気がつきました。

ビジネススキルと人材の関係性の分野において、「カッツの理論」という、ハーバード大学のロバート・カッツ元教授が提唱した法則があります。

これはマネジメントにおいて必要な能力を「専門的スキル」「対人スキル」「思考スキル」の3つに分けて整理したものです。

端的に説明すると、 現場レベルで必要とされる能力と、中間管理、トップマネジメント層で求められる能力では、まったく異なるということです。

だから現場レベルで目覚ましい成果をあげていたとしても、出世したときにその能力だけでは活躍できないことが多々あるのです。

具体的には、セールスで成功するためには「対人スキル」がもっとも求められます。

しかしマネージャーには「計画性」や「問題発見能力」「問いを立てる力」などが必要になるのです。 出世したときに、マネージャーとして必要とされる能力を磨いていなければ、活躍できなくてあたりまえなのです。

26歳で独立してしまった私には、これは目から鱗の話でした。

出世をしようという概念で仕事をしてこなかったので、「目の前の仕事を一生懸命やりさえすれば、リーダーとしての能力を十分身につけられる」と信じていたのです。

結論を言えば、これは大きな間違いでした。

ふだんいるコミュニティの外に、自分の成長がある

今回は「出世」に関する書籍ではありませんから割愛しますが、このように、自分の専門分野だけ学んでいたら見えなかったことが、異業種の方から話を聞くことで新たに見えてくることが多々あるのです。

会社員時代は、ついつい同じ職場の人とばかり一緒にいました。なぜならそのほうが心地いいし、社内人脈のほうが自分の出世にプラスになると思ったからです。

独立してからも、自分と価値観の合うコミュニティの人とばかりつき合っていたように思います。それでは井の中の蛙かわずになってしまって当然です。

ふだんの自分のコミュニティの外の人たちに出会うと、いかに自分の能力がまだまだなのか、自分のつくり出している結果がたいしたものではないか、ということを思い知らされます。

異業種の人と話をすることで、自分がいかに無知だったのかと、悔しい思いをすることも多々あるでしょう。

しかし、それでいいのです。

熟した果実は腐るように、「自分は成熟した」と思ってしまったら、そこからは腐るしかありません。

まだまだ未熟だと思うから成長できるのです。頭を叩かれるような経験をしたほうが人生偏差値も上がり、より魅力的になれます。

積極的に異業種の人と出会い、自分の居心地のいいエリアの外にある体験をたくさんしましょう。そうすることで人生偏差値が上がり、お金に困らない人生に近づいていくのです。

著者 岡崎かつひろ

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