コロナ下で女性の開業相談が2.5倍…美容関連が最多 経営悪化で雇用主から独立促されたケースも

福井県の福井市中心部=2021年2月、福井新聞社社ヘリより

 福井商工会議所の開業サポートセンターがまとめた2021年度の開業相談実績によると、女性の相談者数は過去最多の110人(全体の37.6%)で、前年度の44人(同21.6%)に比べ2.5倍となった。同会議所創業・経営支援課は、新型コロナウイルス感染拡大による経営悪化などを背景に、独立を促されたり、自ら早期退職を選んだりと開業を検討する機会が増えたためと分析している。

 男性を含めた全体の相談者数は21年度は292人で、20年度の203人から89人増加し最多となった。そのうち、実際に開業したのは21年度が98人で、うち女性が31人。20年度の全体75人、女性22人を上回り、いずれも最多となった。

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 同課によると、21年度はエステサロンや美容室など美容関連の開業が全体の2割に当たる21人で最も多く、そのうち14人が女性だった。美容関連以外では、飲食関連14人(女性1人)、製造関連5人(同3人)、デザイン関連6人(同2人)などがあった。

 開業の経緯について、特に美容関連では、集客の落ち込みなど新型コロナの影響による経営悪化を理由に、雇用主から独立を促されたケースが目立ったという。また、もともと独立を考えていた人が、前職で知識や経験を十分に積めたとして、コロナ禍を契機に早期退職し、開業を検討する傾向もみられた。

 同課の担当者は「主婦の開業が目立った。物価が高騰している中で、賃金は上がらず、家計の足しに働こうという意識もあるのではないか」と分析している。

 開業相談は、資金調達や事業計画作成などに関する内容が多いという。同センターでは、県が昨年創設した「地域連携創業支援事業補助金」の活用をサポートしている。補助金は商工会議所の指導を受けて創業した人に、創業にかかった経費の4分の3(上限20万円)を補助する内容で、来年1月末まで募集している。予算上限(1千万円)に達し次第締め切る。問い合わせは同センター=電話0776(33)8283。

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