「必要とされる人に」規格外品の器、子ども食堂に提供 長崎県波佐見の松尾商店

松尾社長の案内で規格外の器を確認する数山さん(左)=波佐見町村木郷、natural69

 波佐見焼の卸小売り、松尾商店(東彼波佐見町)は、規格外品の器を長崎県内の子ども食堂に寄贈する取り組みを始める。松尾一朗社長(49)は「必要とされる人に、必要な器を届けたい」と話している。

 日常の使用には全く問題はないが、色に濃淡やムラが出たり、黒点がついたりした規格外品。注意を払って製造しても、全体の1~2割発生するという。陶器まつりなどのイベントで、安価で販売しているが、在庫が積み重なると破棄処分になる。同社は持続可能な開発目標(SDGs)の視点から「無駄にしない仕組みを作りたい」と4月、十八親和銀行に相談した。
 今回、県内39団体でつくる「ながさき子ども食堂ネットワーク」が窓口となり、規格外品のデータを交流サイト(SNS)で各子ども食堂と共有。希望の器を松尾商店が提供する仕組みづくりを進めている。
 10日、同ネットワークの事務局長、数山有里さん(41)=佐世保市=が同社の小売店「natural69」=波佐見町村木郷=を訪問。規格外品の中には、動物や魚をかわいらしく描いた器もあり、「子どもたちが喜びそうな器。運営にはコストもかかるので、申し出はすごくありがたい」と話した。
 松尾社長は「規格外品は必ず発生する。一過性のものでなく継続的な活動にしたい。賛同する団体が増えることで、支援の輪が広がれば」と話した。

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