戦死者慰霊前に「栃木の塔」清掃 沖縄返還50周年、追悼の思い新た

「栃木の塔」の清掃活動に参加した「栃の葉会」のメンバー=18日午前、沖縄県糸満市摩文仁

 23日の「沖縄慰霊の日」を前に、沖縄栃木県人会「栃の葉会」は18日、沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園内にある、本県出身南方戦死者を慰霊する「栃木の塔」で清掃活動を行った。

 郷土への貢献として慰霊の日直前の週末、沖縄県内に住む本県出身者が集まり、約40年間、毎年塔の清掃を続けている。今年は20~70代のメンバー10人が集い、塔の碑文の内容を確認した後、塔周辺の草刈りや落ち葉拾いなどに約1時間、汗を流した。

 その後、栃木の塔の隣にあり、太平洋戦争末期に沖縄県警察部長を務めた宇都宮市出身の荒井退造(あらいたいぞう)らが祭られている「島守の塔」でも線香を手向けた。

 栃の葉会副会長の高久健治(たかくけんじ)さん(69)=さくら市(旧氏家町)出身=は、毎年欠かさず参加し、新型コロナウイルス禍が深刻だった一昨年は一人で清掃を続けた。「集まった県人はみんな、古里の身内が亡くなった気持ちで参加している。今年は沖縄返還50周年でもあり、追悼の思いも一層強いものがある」と話した。

 栃木の塔は、沖縄戦や南方諸地域で戦死した本県出身者3万1千柱以上を合祀(ごうし)している。

© 株式会社下野新聞社