長崎県産水産物 輸出42億円 過去最高、中国向け需要回復 2021年度

 長崎県は21日、2021年度の水産物の輸出実績が約42億円で過去最高だったと明らかにした。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ中国向け生鮮水産物の回復や、米国向け養殖ブリが好調だったことなどが要因。
 県議会農水経済委員会で説明した。輸出実績は、県や県漁連、魚市場などでつくる「県水産物海外普及協議会」を通じた額と民間への聞き取りで把握できた分の合計。輸出国上位は中国、米国、韓国の順だった。
 県水産加工流通課によると、18年度は約33億円で過去最高(当時)を記録。19、20年度は新型コロナの影響で、輸送ルートが制限されたり、各国の飲食店などで需要が低迷したりし、それぞれ約31億円、約28億5千万円と減少していた。
 21年度は中国向けの空路の制限が続く中、事業者が代替ルートを模索しながら輸出を継続し、同国の鮮魚需要に応えた。米国も需要が回復傾向にあり、国内より大型サイズの養殖ブリや養殖マアジを輸出。養殖ブリはここ1、2年の稚魚が少なく、価格相場が上昇したことも輸出金額を押し上げた。
 県はさらなる輸出拡大に向け、本年度一般会計補正予算案に「長崎産水産物海外販路開拓事業費」として4千万円を計上。新規輸出を目指す事業者の中国や東南アジアなどへの輸送ルートや販路開拓などを支援する。

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