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世界的ピアニスト、辻井伸行さん(33)の母いつ子さん(62)の講演会が18日、佐世保市内であった。伸行さんが全盲だと分かった時の不安や、音楽の才能を見いだして二人三脚で国際大会での優勝をつかみ取った歩みを振り返り、「人間は無限の可能性を持っていると感じる」と語った。
生後間もない伸行さんに視覚障害があることが分かった時はネガティブな気持ちになったといういつ子さん。全盲の作家に「健常児と同じように育てればいい」と言葉をかけられて以降、花見や花火大会など積極的に出かけ、香りや音を感じて感性を磨いた。
生後8カ月ごろにはクラシック音楽に興味を示し、同じ曲を聴いても演奏者の違いに気づき反応が変わったという。幼少期から周囲が驚く演奏を披露し、いつ子さんは「ピアノが明るい光がある所に連れて行ってくれると思った」。才能を信じて思い切り褒め、ポジティブな言葉で背中を押し続けた。伸行さんは2009年、バン・クライバーン国際ピアノコンクールで、日本人で初めて優勝した。
最後に「一つでも好きなことがあれば心の支えになる。好きなことを見つけて明日に進んでいくことが大切だと思う」と結んだ。
講演会は佐世保市教委の主催。6月の「いのちを見つめる強調月間」に合わせて開いた。