車いすで投票はできる?選挙のバリアフリー事例・障害者対応Q&A【参院選2022】

2022年7月10日、第26回参議院議員通常選挙(以下、参院選)が実施されます。

各自治体では、投票率向上のために「期日前投票」の活用を促しています。しかし、障害を持つ人にとっては「投票所に足を運び、候補者名等を紙に書き、箱に入れる」という作業そのものが難しいケースがあるのです。

・参院選に行きたいけど、投票所が車いすに対応しているか不安
・投票所がどんなバリアフリー対策をしているのか事前に把握しておきたい

このように、投票所の対応に不安や疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、投票所のバリアフリー事情や、障害を持つ有権者への対応事例をQ&A方式でご紹介します。

Q1. 車いすで投票することは出来るの?

車いすでも投票所での投票が可能です。

それぞれの自治体では、車いすユーザーのためにスロープや座位記載台の設置、車いすを押すための係員の配置など、さまざまな対策をしています。

また、車いすの貸出も行っている自治体が多いようです。

【東京都小金井市の事例】

各投票所では車いす等で来場するかたのため、段差解消のスロープを設置しています。また、投票所内で車いすの介助等、サポートが必要な方は投票所の係員に申し出てください。

引用:障がいのある方のための投票・投票所における取り組み|小金井市公式ホームページ

Q2. 点字で投票することは出来るの?

点字での投票も可能です。

視覚が不自由な人は、点字投票制度はもちろんのこと、代理投票制度も利用できます。これは本人が点字専用の投票用紙を使用して投票したり、補助者が代理で投票したりする制度です。投票所によっては、簡易点字器の他に、点字氏名等掲示(候補者名、政党名の点字による一覧)が用紙されているところもあります。

また、点字版・音声版・拡大文字版による選挙公報を希望者に配布する制度もあります。これは候補者や政党の政見を事前に確認したい場合に無料で利用できる精度です。ただし、電話などでの事前申し込みが必要なので、利用方法については各自治体のホームページをご確認ください。

【大阪府藤井寺市の事例】

視覚に障害のある方は、点字による投票ができます。点字器と点字用の投票用紙、点字の候補者氏名一覧表を用意してありますので、投票所受付にて点字投票を希望する旨をお伝えください。
希望する府内の視覚に障害のある方に、候補者の選挙公報の内容などを点字、音声テープ、音声CD、音声デイジーまたは拡大文字にした「選挙のお知らせ」を無料配布しています。

引用:第26回参議院議員通常選挙のお知らせ/藤井寺市

Q3. 代理人に投票してもらうことは出来るの?

「代理投票」という制度を利用できます。

代理投票は多くの自治体が導入している制度です。視覚や上肢に障害があり自書による投票ができない場合、代理人による投票が認められます。投票当日だけでなく、期日前投票や不在者投票でも利用可能です。

代理投票を希望する場合、投票所の係員による投票補助者2名が定められます。このうち1名は選挙人が指示する候補者の氏名や政党名等を代理で記載し、もう1名が指示通りに記載しているか確認するために立ち合います。

なお、代理人は投票所の係員に限ります。家族や付き添い人による代筆はできません。

【千葉県船橋市の事例】

ケガなどにより投票用紙への記入が困難な方は、投票所の係員が投票の秘密を侵すことなくお手伝いします。投票所の係員へお申し出ください。

引用:選挙の種類と投票用紙の書き方など|船橋市公式ホームページ

Q4. 投票所までの移動を手伝ってもらうことは出来るの?

移動支援に関する制度を利用できます。

投票所までの移動支援が徐々に整備されています。巡回バスの運行や介護タクシーの手配、ガイドヘルパーの付き添いなど、支援内容は自治体によってさまざまです。

【①東京都港区の事例】

移動支援の内容
「移動支援事業」「訪問介護」等の制度を利用することにより、ご自宅等から投票所への移動について支援を受けられる場合があります。

対象者
視覚障害のある人や全身性障害の人、知的障害や精神障害のある人及び介護保険の「要支援」又は「要介護」の認定を受けている人

引用:港区ホームページ/投票所の移動支援について知りたい。

【②青森県田子町の事例】

移動支援の内容
自宅と期日前投票所の間を車いすも一緒に乗車できる介護タクシーで送迎

対象者
・「長時間の自立歩行が難しく、補助の移動手段を持たない選挙人」としており、年齢や要介護認定者等で限定していない
・主に高齢者や障害者を想定しているが、若年層のけが人等も利用可能
・対象地域は町内全域

引用:総務省 – 移動支援、移動投票所の取り組みについて

東京都などの都心部においては、区や市による「移動支援事業」を利用することで投票所までの移動支援を受けられる可能性があります。詳しくはお住まいの地域の役所へお問い合わせください。

Q5. 投票所で貸し出してくれるものはあるの?

投票所ではさまざまな支援ツールを貸し出しています。

  • 車いす
  • 杖おき
  • 座位記載台
  • 文鎮、すべり止めシート
  • 虫めがね、ルーペ
  • 老眼鏡
  • 点字器
  • 点字氏名等掲示
  • イラストによるコミュニケーションボード
  • 筆談用ホワイトボード

各自治体では、障害を持つ人々が投票しやすいよう工夫を施しています。利用を希望する人は、遠慮せずに係員に申し出ましょう。

また、会話が困難な人のために手話通訳者を投票所へ派遣する支援も一部地域で行われています。東京都江東区大阪府高槻泉南市などは今回の参院選でも手話通訳者の派遣を実施するようです。

また、区や市によっては福祉制度の一環として日頃から手話通訳者の派遣を提供しているケースがあります。この制度は選挙時にも利用できる可能性があるので、派遣が必要な人は事前に確認することをおすすめします。

参院選は7月10日に実施されます!

ここまでバリアフリーと選挙について事例を交えて解説してきました。

各自治体では、障害を持つ人でも投票しやすいようバリアフリー対応が進められています。まだ課題が残る部分もあるかもしれませんが、多くの自治体では積極的に受け入れ態勢を強化中です。

7月10日にはいよいよ参院選が実施されます。車いすで投票所へ出向き、係員の助けを受けながら投票することは「ちょっとめんどくさい」かもしれませんが、今回の参院選ではぜひあなたの貴重な1票を投じてみてくださいね。

また、選挙ドットコムでは参院選に関する情報をオモシロク解説する特設サイトを開設しました!参院選まで残りの期間、候補者の顔ぶれや自分の選挙区をぜひ確認してみてくださいね!

\参院選特設サイトはこちら/

(執筆協力:森しゅなつ

© 選挙ドットコム株式会社