母校に“無料弁当” 月1回配布で学生支援 長大経済学部の卒業生「瓊林会」

無料配布の弁当を受け取る学生=長崎大片淵キャンパス

 長崎大経済学部の卒業生でつくる公益社団法人瓊林会(喜多村円会長)が本年度月1回、同大片淵キャンパス(長崎市片淵4丁目)で、学生向けに弁当を無料配布している。コロナ禍で困窮する在学生を支援するとともに、同会の存在アピールを図る。
 同会の予算によるコロナ禍の学生支援は、2020年6月に長崎大「西遊基金」に300万円を寄付して以来。「今度は経済学部の後輩に直接役立つことをしたい」と、学部のある同キャンパスでの取り組みを企画した。
 毎月第4木曜日を「瓊林会デー」と名付け、単価500円の弁当を同大生協に発注。4月160食、5月200食、6月200食を用意した。夏休みや春休みの期間を除き年8回実施予定。学生は食堂で学生証の提示と引き換えに受け取る。
 23日に配られた弁当は、野菜たっぷりで栄養に配慮されたメニュー。1年生の女子学生(19)は「奨学金を借り県外から進学。できるだけ食費を倹約したいが、毎日食堂で食事するのもお金がかかる。無料の弁当はありがたい」と語る。
 同会の高堤重人専務理事は「子ども食堂の発想で始めた。現役の学生に瓊林会の存在を知ってもらい、喜んでもらいたい」と語る。
 背景には、卒業生の同会加入者が年々減少している現実がある。「学生にとって瓊林会は縁遠い存在で、もしかすると会の読み方すら浸透していないかも」という思いから、学内に掲示する同デーのポスターには「けいりんかい」とふりがなを振った。
 「長崎大経済学部は、明治創立の長崎高等商業学校をルーツとする長い歴史がある。卒業生が集まる瓊林会の活動を身近に感じてもらい、入会につながれば」と高堤さんは期待を込めている。


© 株式会社長崎新聞社