熱中症急増268人搬送 医師「自分は大丈夫」は危険 1週間で前年月間の4倍

人形を使い、熱中症となった際に冷やす場所を示す永島さん=1日午前、宇都宮市内

 猛暑が連日続き、栃木県内で熱中症の搬送者が急増している。各地の消防本部によると、30日までの1週間で昨年6月の月間の4倍以上に上る268人が救急搬送された。3週間以上の入院が必要な重症者も20人に達し、救急医は「深刻な後遺症が生じる恐れもある」と危惧する。冷房の適切な使用やこまめな水分補給などを呼び掛けている。

 6月24〜30日の熱中症搬送者数は、宇都宮市消防局管内が最多の41人で、真岡や芳賀など1市4町を管轄する芳賀地区広域行政事務組合消防本部管内が32人、栃木市消防本部管内が31人だった。

 宇都宮市消防局によると、市内で6月の観測史上最高となる37.6度を記録した25日以降、搬送件数が急増した。日中に運用する14台の救急車に加え、5台を予備として確保する非常態勢を取る。搬送者の年代は幅広く、担当者は「暑さに慣れていないと、どの年代でも熱中症になり得る」と指摘する。

 熱中症の際の対応として、同局の救急救命士永島貴生(ながしまたかき)さん(31)は「まず体を冷やすこと」と指摘する。涼しい場所で首や脇の下、太ももの付け根の動脈を氷のうなどで冷やすほか、水をかけて扇風機などで風を送ることも有効という。自力で水分補給できない、症状が回復しないといった場合は「ためらわず救急車を呼んでほしい」と話す。

 済生会宇都宮病院救命救急センターの木村拓哉(きむらたくや)副センター長(36)は、早めに症状の兆候をつかむ必要性を挙げる。体温がそれほど高くなくても、体の中心に熱がこもっている恐れもある。暑くても汗をかかなかったり、尿が出なかったりする時は「すぐ水分補給を」と呼び掛ける。

 「熱中症は年齢に関係なく重症化し、重篤な症例は脳や腎臓などに深刻な影響が残ることもある。『自分は大丈夫』という考えは一番危ない」と強調した。

人形を使い、熱中症となった際に冷やす場所を示す永島さん=1日午前、宇都宮市内

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