縄文時代の日時計? 宇久島の巨石群を“古代遺跡”に 島民、案内板など整備へ

厄神社にある巨石群=佐世保市宇久町(宮﨑さん提供)

 長崎県佐世保市の離島、宇久島の島民が巨石群を観光資源にしようと動き出している。石と石の隙間から差し込む光に着目し、縄文時代に日時計として使われていたのではないかと思いをはせる。巨石群を“古代遺跡”に見立てて観光客の呼び込みを目指す。
 高さ15メートルほどもありそうな複数の巨石が支え合うようにして立っていた。宇久町本飯良地区の厄神社。山道を登った先にあるこの神社は疫病と五穀豊穣(ほうじょう)などの神を祭る。疫病、漁の神として鎌倉時代に平戸市生月町や対馬、壱岐などから漁師が年に1回、参拝に訪れていたとされる場所だ。
 巨石にスポットを当てるのは宇久島エコツーリズム自然塾(宮﨑吉男代表)。石の間から差し込む太陽の光の動きを利用して時刻を読む日時計であれば「まさにロマン。日時計を復活させてパワースポットとしたい」(宮﨑さん)。2月以降、連日山に入り、草木に埋もれた巨石の姿を現すため、木々を切り倒したり石に巻き付くツタを取り除いたりしている。

 宮﨑さんが取り組むのには理由がある。宇久島の人口はかつて1万人超だったが、今は約1900人まで減った。人口減少と少子高齢化が進む島で人口増は見込みにくい中、エジプトのピラミッドやイギリスにある巨石遺跡群ストーンヘンジのような古代遺跡として交流人口を拡大する観光拠点にできないかと思いが膨らむ。
 ヒントとするのは岐阜県下呂市金山町の岩屋岩蔭遺跡の巨石群。石と石の隙間から差し込む太陽の光の動きから季節を把握していたと考えられ、地元で有名な観光スポットになっている。地元では10年前から「光の体験ツアー」が企画され、新型コロナウイルスの拡大前は年間約5万人が訪れていたという。
 宮﨑さんは「宇久島の巨石に人為的に掘られたような2本の線刻が残ることや鋭角な石の形状など、金山町の巨石群と共通点が多い」と確信。今後、ガイドブックや案内板も作る計画で「観光スポットとしてこの地を復活させ、地域再生につなげたい」と話す。


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