銚子商業 野球で繋がる“久保形兄弟”の絆 兄の夢を…/夏の高校野球千葉大会

銚子商業 野球で繋がる“久保形兄弟”の絆 兄の夢を…/夏の高校野球千葉大会

 2022年春、千葉大会で準優勝し、12年ぶりの関東大会に出場した銚子商業。 

 夏大会も千葉で最多となる甲子園出場を誇る。

 しかし、甲子園の出場は2005年夏が最後。2022年は、17年ぶりの甲子園出場を目指す。

 そんな今年のチームを統率するのは、久保形 怜司主将

 “甲子園を目指す”原動力のひとつに、兄の存在がある。 

 というのも、甲子園は兄が立つことが出来なかった夢の舞台だからだ。

 兄・明絃さんは銚子商業 野球部OBで、現在は流通経済大学3年生。 

 2019年の夏の高校野球千葉大会に出場した際は、弟と同じくAシードで駒を進めるも、結果はベスト16。

 市川高校に7-5で敗れ、5回戦敗退となった。


 13日、ZOZOマリンスタジアムで行われた木更津 対 銚子商業の一戦には、兄・明絃さんも応援に駆け付け、次第に雨も強くなる中、スタンド席から弟の姿を見守った。    

 チバテレ+プラス編集部が話を聞くと、「弟とは昨日も電話しました」と話す。 

 現在、久保形主将は寮生活のため、会うのは年に数回だというが、初戦を翌日に控えた12日、2019年に自身が経験したこと、感じたことを電話で弟に伝えたという。

「自分の代もAシードでしたが、自分は先を見すぎて負けたので“先を見ずに1戦1戦普通にやれば勝てる、期待している”と伝えました。本当に先を見ると足元すくわれるので…」

 兄・明絃さんと久保形主将は、ポジションは同じセカンド。背番号も同じ“4”だ。

「当時自分はAシードということでプレッシャーがありました。勝つのが当たり前と周りから思われるので、勝たなきゃ勝たなきゃと思ってしまって。弟には周りは気にしないでチームが勝つことだけを考えなと言いました」

「ポジションも同じ、背番号も同じものをつけてもらっているので、自分の思いも託しています」

 兄が見守る中、進む試合。 

 銚子商業が立ち上がり2点を先制するも、木更津の金本竜志投手の好ピッチングで投手戦が続く。 

 そのまま9回まで銚子商業がリードを守り切り“完封リレー”で初戦を突破した。

「小さい頃は一緒に練習をしたり、キャッチボールしたりしましたが、弟はバッティングがはるかに自分より上にいっているので敵わない。羨ましいです」と笑顔で話す兄・明絃さん。

「今日の試合はもう少し点が欲しかったなと思う部分もありますが、チームの勝ちが1番なので、次の試合もチームが勝てるように自分のやるべきこと、キャプテンなりの動きをしっかりとやってほしいです。良くやったと思います。何より、自分も2回戦のときにここで試合したので、同じ舞台に立てたことが嬉しいです」

 試合後、久保形主将に話を聞くと、「後半なかなか点が入らなくて上手くいっていない試合だったが、想定していたことだったので落ち着いてしっかり守り切れてよかった」と話した。

 銚子商業の長所はバッティング。 

 変化球や力強いストレートにも打てるように練習を重ねてきたという。   

「まだ練習の成果は出ていないと思うが1試合こなせたのでここから自分たちの持ち味を発揮できればいいかなと思います。Aシードだからといって格好つけるとかはなくて、春大会で底辺から勝ち上がったみたいに、挑戦者の気持ちをもって臨む。攻めていこうという気持ちです」

■ 試合後に兄のもとへ…

 試合後、「お疲れ様」と声をかけて話す2人。 

 一緒に写真を撮るのは久しぶりだと照れ臭そうに話す。久保形主将は「兄とは性格が正反対なんです!」と教えてくれた。

 久保形主将はまじめで、兄・明絃さんは適当なんだとか。

久保形主将

「野球選手としてのタイプも全然違うんですけど、兄さんは夏がベスト16、春はベスト4と結果を出していたので、野球選手としてもチームの結果としても負けないように頑張りたいです」

 性格もプレースタイルも正反対、なのに母校もポジションも背番号も、“Aシード”という点も同じ。 

 正反対だからこそ、お互いに足りない部分を補完しあう良い相乗効果が生まれているのかもしれない。

兄・明絃さん

「自分は守備が得意なので、弟には守備について聞かれることもありますし、逆に弟には攻撃のことを聞くこともあります」

 最後に目標を聞くと、久保形主将は「兄さんのアドバイス通り、上を見ずに一試合一試合大切にして頑張っていきたい」と意気込み、兄弟で微笑みあった。

兄・明絃さん

「まずは優勝して甲子園に出てもらえたら嬉しいです。自分も応援で行ってみたいので…」

2人を育てた母親はー

「試合前には兄が色々カツを入れていたみたいですね。小さい時から2人で野球頑張ってきたので…私はプレッシャーを与えないように連絡はあまりしないようにしました」

「下の子はお兄ちゃんに負けないように頑張っていて『お兄ちゃんには敵わない』と言っているし、上は上で『自分より弟の方がすごい』と弟のことを買っている。すごくいい関係の兄弟で育ってくれたなって嬉しく思います」

「最後の夏なので、お兄ちゃんの分まで頑張ってほしいです!」
 

 兄の背中を追って… 

 久保形主将率いる銚子商業は今夏、2005年以来となる、17年ぶりの甲子園出場を目指す。

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