新卒看護職の離職率、栃木県が全国ワースト 7人に1人、目立つメンタル不調

県内病院における新卒看護職員の離職率の推移

 栃木県内の病院に2020年度に新卒採用された看護職員のうち、1年以内に離職した人の割合は前年度比5.1ポイント増の15.0%で、全国で最も高かったことが17日までに、日本看護協会(日看協)の調査で分かった。本県の離職率が全国ワーストとなるのは、16年度以来4年ぶり。新卒職員の約7人に1人が離職した計算で、理由では精神的不調や自身の能力への不安などが目立った。

 調査は21年10~11月、全国8202病院に質問し、32.5%に当たる2668病院が回答した。本県は106病院の34.9%に当たる37病院が答えた。

 本県のほかに離職率が1割を超えたのは香川(14.5%)、兵庫(10.7%)、東京(10.6%)、山口(10.4%)の4都県。最も低い富山は2.9%だった。隣県の茨城は7.8%、群馬は9.0%。全国平均は8.2%で、前年度を0.4ポイント下回った。

 回答した病院の約3分の1が、コロナ禍が新卒職員の成長や習熟に及ぼす影響を懸念していると答えた。メンタル面の不調で連続休暇を取った職員が増えたとの回答も、例年に比べ多かった。

 日看協の調査より回答率が高かった県看護協会の調査でも、新卒離職率は19年度に比べて倍増したという。離職理由は「健康上の理由」が27%で最も多く、このうち大半が精神面の不調だった。次に「適正や能力への不安」や「人間関係」が続いたという。

 日看協の調査では本県は離職率が高い傾向にあり、17年度はワースト5位タイ、18年度は同4位、19年度は同10位だった。新卒離職率の高止まりについて、県医療政策課は「医療従事者のニーズが高まる中で憂慮すべきこと。医療現場や関係団体の声を聞きながら対策に取り組む」としている。

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