懸念の核使用「事実無根」 露大使館から反論文書 核禁条約の会・長崎に届く

ロシア大使館から届いた反論文について見解を述べる朝長会長=長崎市岡町、長崎原爆被災者協議会

 長崎の被爆者団体などでつくる「核兵器禁止条約の会・長崎」は24日、5月に核保有国の在日大使館などに送ったアピール文に対し、ロシア大使館から「ロシアが核兵器を使用する可能性があるとの日本の懸念は事実無根」との反論文が届いたと明らかにした。
 アピール文は、ロシアがウクライナに侵攻し核兵器による威嚇をしていると指摘。核保有5カ国が1月に出した「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならない」との共同声明に反していると非難していた。
 反論文は、ガルージン駐日ロシア大使名で6月21日に届いた。プーチン大統領が核抑止力部隊を高い警戒態勢に置くよう命じたのは「核兵器を保有する西側諸国がわが国に極めて対立的な発言をしたことへの警戒感を強めた」と主張。「核戦争は決して、してはならないというのが基本的な立場」と強調した。
 核保有国が参加していない核兵器禁止条約についても言及し、「核軍縮の取り組みは全ての国の安全保障を強化する形で行わなければならず、条約の推進は間違い」と否定。「保有国と非保有国との間に緊張感を生み出し、核不拡散体制を揺るがしかねない」と訴えた。その上で、核拡散防止条約(NPT)の核軍縮義務を順守し、核兵器削減のための国際協力や軍備管理・不拡散体制の強化に大きく貢献しているとした。
 同会が24日に長崎市内で開いた報告会で紹介。共同代表で県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長は「核の威嚇ではないと否定しているが無理な表現」と述べ、再度、反論の文書を送る方向で検討するとした。


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