病床数引き上げ581床確保 使用50%超で行動制限検討 栃木県コロナ対策本部

栃木県庁

 新型コロナウイルス感染者の急拡大を受け、県は26日、対策本部会議を開き、29日から確保病床を3段階で最高の「フェーズ3」に引き上げることを決めた。同日に開設する県央の臨時医療施設と合わせると病床数は581床になる。8、9月には高齢者と障害者施設の職員を対象に週1回、感染者が出た保育所や幼稚園などでそれぞれ検査を実施し、重症化リスクのある人への感染やクラスター(感染者集団)の発生を防ぐ。会議後の記者会見で福田富一(ふくだとみかず)知事は「病床使用率が50%を上回ることを一つの目安に行動制限を検討する」と述べた。

 25日時点の病床使用率は40.3%。感染力が強いとされるオミクロン株の派生型「BA・5」への置き換わりは73.1%(7月6~12日)に上り、福田知事は「感染が短期間で爆発的に拡大しており、感染者数のピークは見通せない」と説明した。

 確保病床は24日に「フェーズ2」(451床)に引き上げたばかりだが、感染急拡大による病床使用率の上昇に伴い、最高レベルまで引き上げる。県央の臨時医療施設(33床)を29日に開設し、それ以外の臨時医療施設は8月中旬の開設に向け調整を進める。

 県内の入院受け入れ医療機関内でも感染者や濃厚接触者が増加し、30施設のうち22施設で計282人の欠員が生じている。県は通常医療とのバランスに配慮した上で、コロナ患者の受け入れ態勢拡充を依頼する。

 高齢者施設などの職員を対象にした検査は、PCR検査とほぼ同等の精度があるとされる抗原定量検査を実施する。保育所、幼稚園、認定こども園などでは、各施設が対象者を判断する。

 ワクチンの4回目接種を促進するため、県営接種会場4カ所で「接種券なし接種」を実施する。対象は医療従事者や高齢者施設などの職員で、施設を通して申し込む。

 福田知事は「リスクの高い場所や混雑した場所への移動は慎重に判断してほしい」と呼びかけた。

 一方、宇都宮市も26日、県と同様に高齢者施設などの職員に対して検査を実施することを決め、県内の対象者は計6万3千人となる。

第7波の感染急拡大を受けた県の主な対応

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