海星が3年ぶりV奪回 投打がっちり 初球打ち奏功、長短13安打 第104回全国高校野球長崎大会 最終日

【決勝、海星―創成館】4回表海星2死一塁、森が左越えに2ランを放つ=県営ビッグNスタジアム

 重圧をはねのけ、ハイレベルな混戦を第1シードから勝ち抜いた。海星が自慢の強打をいかんなく発揮して3年ぶりにV奪回。最後は準決勝まで防御率1.59の創成館投手陣から9点を奪った。全5試合で59安打、チーム打率3割8分8厘。どんな球でも引きつけて中堅より逆方向への単打でつなぐと思えば、要所で強烈な一発を放つなど、力と技は群を抜いていた。
 徹底してきた初球打ちが成果を上げた。鮮やかだったのは四回の森の2ラン。「(前の)丸本が真っすぐを打っていたから、絶対に変化球と張っていた。打った瞬間いったと思った。気持ち良かった」。1球目の115キロを完璧に捉えた打球は左翼席中段へ。言葉通りの会心の当たりに、球場はどっと沸いた。
 再び見せ場をつくったのは九回。先頭丸本の安打後、森がまた初球を左前に運んで一、二塁とすると、1死後、部員約80人を束ねる主将の柿本が代打に立った。「どんなときでもチームのテンションを上げるのが自分の役目」とファーストストライクを迷わず強振して左中間を真っ二つに。五回以降は相手救援陣を打ちあぐねていた中、頼れるリーダーが優勝を決定付けた。
 今季は「甲子園4強」を掲げて始動。一つ目の春に向けて昨秋も県王者に輝いたが、続く九州大会準々決勝でまさかの完封負け。その悔しさも胸に刻む選手たちの夏の快音は、まだ止まりそうにない。次に響かせるのは待ちわびた大舞台。森や柿本らが同じ言葉を口にした。「全国で一番、熱い夏にする」。それを予感させる堂々の頂点だった。


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