iDeCo、つみたてNISAはいつ始めるべき?現金貯蓄が少なめの5人家族の場合

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、会社員の妻と3人の子どもと暮らす、44歳会社員の男性。iDeCoやつみたてNISAを今すぐ始めたほうがいいのか悩んでいる相談者。住宅ローンの繰り上げ返済に使ったため現金預金が少なめで、これから教育費もかかってくる状況。どのように取り入れるのが良いでしょうか? FPの伊藤亮太氏がお答えします。


NISAやiDeCo、興味はありますが始めるべきか、すぐに使えるように手元に貯金でよいか悩みます。

ローンは子どもがまだ小さい時に繰り上げなどしたため残りわずかですが、子どもも成長し日々の生活費、教育費もかさみます。これから家のメンテナンス、車の維持費、子どもの進学やいろいろと出費も予想されます。ボーナスありきでなんとかトントンの状況になりつつあると思います。

(1)住宅ローン

2005年借入、現在月返済約11万、返済期間残り1年以内、返済後は会社の手当て約3万円がゼロになります。築年数が経過するので修繕費などの為にボーナスから10万×2回の貯金を続けています。修繕費と仕分け管理できるように財形で天引きにしています。

(2)老後資金

公的年金は2000年入社から支払い継続中、退職金はありますが、金額はわからず一般的なサラリーマン程度以下と思います(新卒採用で勤務22年目)

(3)学資保険系

月々1.5万程度×3人。高校卒業まで目安に支払いしています。うち2人分は生命保険ですが学資保険の代わりとして。進学費用分として仕分け管理できるようにあえて保険で積み立てています。

【相談者プロフィール】

・男性、44歳、会社員

・家族:妻48歳(会社員)、子ども3人(9歳、12歳、15歳)

・住居の形態:持ち家(戸建て、関東地方)

・毎月の世帯の手取り金額:47万円(うち妻13万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:110万円

・毎月の世帯の支出の目安:55万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:11万円(住宅ローン)

・食費:12万円

・水道光熱費:4万円

・教育費:8万円

・保険料:6万円

・通信費:1万8,000円

・車両費:7,000円

・お小遣い:3万円

・その他:15万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:-円

・ボーナスからの年間貯蓄額:10万円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):400万円

・現在の投資総額:0円

・現在の負債総額:200万円以下(住宅ローンのみ)

伊藤:ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太です。回答させていただきます。

まず、お子様がこれから進学するにあたって、教育費にますますお金がかかる時期に突入する可能性があります。特に大学をどう進学するかによっては学資保険だけではまかなえない可能性があります。

そのため、今はまずは貯蓄重視で動かれるべきではないでしょうか。住宅ローンが1年以内に終わるということは、会社の手当てを除いた月8万円が貯蓄にまわせるようになるということ。年間で100万円近い資金が貯められます。この部分をまずは貯蓄として構築できるようにしてください。

3人とも私大に通う場合は学資保険だけでは足りない

次に、現状の収支状況から考えていきます。「その他」の15万円がなにに使われているのかわからないため、気になります。貯蓄できるようなものか、カットできるようなものであればよいですが、一体何でしょう?

この「その他」があるためか、毎月の収支は赤字となっています。本来はボーナスに頼ることなく、毎月の収支を黒字にすべきです。現状は、毎月の収支が8万円の赤字となっているように思われます。何か削れるものはないか、ボーナスに依存する体質になっていないかどうか確認してください。

仮に住宅ローンを完済し、来年から毎年100万円程度は貯蓄ができる(ボーナスからの修繕費部分除く)という状況になったとしましょう。3人とも私立大学に4年間通うとすると、学資保険だけではまかなえず、100~200万円は余分にねん出しておく必要があります。なお、それ以上必要になりそうな場合は、現状かかっている教育費の金額から捻出は可能でしょう。そのため、今かかっている教育費が浮いたからといて、何かに使わないでくださいね。こう考えると、来年から6年程度は確実に現金で貯めていかれるほうがよいように思います。無難にいかれるならこのようにお考えください。

老後資金の作り方

一方で、老後資金構築もそろそろ視野に入れるべき時期となってきています。教育資金と老後資金を同時に構築していきたいということであれば、iDeCoに65歳まで加入することを検討しましょう。この場合、教育資金確保の目途が見える7年後までは毎月1~2万円など、できる範囲でよいかと思います。継続して運用を行い、その後は掛金の増額、老後資金を本格的に構築できる体制へと移っていく形でいかがでしょうか。節税も図れますしね。

7年後にはご相談者は55歳となっています。そこから10年で、いかに老後資金を貯めるかを検討します。その頃には貯めたお金は老後資金へと振り向けることができていると思います。とはいえ、iDeCoばかりで資産形成を行うと引き出しがすぐにはできないというデメリットもあるため、一部をつみたてNISAで運用していくのもありです。こちらは万が一資金が必要になれば売却し現金化が可能です。

仮に住宅ローンがなくなり、その後毎年100万円が貯蓄できるとした場合、7年後から貯められるお金は10年間で1,000万円です(収入アップ等の見積もりはしていません)。これを運用で少しでも増やすことができていればよいのではないでしょうか。これに加えて退職金を受け取ることができるほか、現在ある預貯金400万円もあると考えると、一般的なサラリーマンぐらいの老後資金構築はできていると思います。老後資金2,000万円問題は解決できることでしょう。

売却のタイミングも考慮しましょう

なお、無理してNISAやiDeCoを使う必要はありませんが、強制的に資産形成をはかりたいなど強い思いがある場合には、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。相談者の場合は10年程度は運用できるため、活用する意味があると思います。

なお、ずっと継続して運用するのがよいとも限りません。最後売却する時期に利益が出ていなければ意味がないため、売るタイミングもしっかり検討してくださいね。もし数年しか運用できない、無理したくないといった場合には単純に預貯金で確保していくほうが無難だと思いますよ。

© 株式会社マネーフォワード