【新型コロナ】横浜市、発熱外来に検査キット配布 医療機関の逼迫緩和へ

横浜市役所

 新型コロナウイルスの感染急拡大で、受診者が殺到している発熱外来の逼迫(ひっぱく)を緩和するため、横浜市は29日から、希望する市内の発熱外来に抗原検査キットを配布する独自の取り組みを始める。現場で検査キットを配り、自主検査してもらう態勢を整えることで重症化リスクの高い人が診察を受けられるようにする。

 市健康安全課によると、県内初の取り組み。市内には発熱外来が約1100カ所あり、市医師会に委託して、8月末まで希望する医療機関に約30万個を無料配布する。外来に来た人に検査キットを配り、症状が軽く、重症化リスクの低い場合は県の「自主療養」につなげる。担当者は「助かる命を救うために、重症化しやすい人を確実に医療につなげたい」としている。

 政府が都道府県などを通じて同様の仕組みを構築する意向を示しているが、開始時期のめどが立っていないことが背景。市が設置するコールセンターには「受診したくても予約が取れない」という声が多く寄せられ、医療機関からは「このままでは逼迫に耐えきれない」との懸念が出ていた。そのため、国の仕組みが整うまで「医療現場がパンクしないよう、市が“中継ぎ”役を担うことにした」(担当者)という。

 市はこのほか、クラスター(感染者集団)が増えている市内の高齢者施設や医療機関などの職員向けに検査キットを約71万個配布することも決めている。(石川 泰大)

© 株式会社神奈川新聞社