「漁火想」幻想の光、20年の歴史に幕 福井県高浜町、キャンドルや創作花火…住民ら心に刻む

キャンドルの温かい光が砂浜を幻想に包んだ「若狭たかはま漁火想」=30日夜、高浜町の若宮海水浴場

 福井県高浜町の若宮海水浴場で毎夏開かれてきたイベント「若狭たかはま漁火想(いさりびそう)」が7月30日、約20年の歴史に幕を閉じた。砂浜などに並べられた約3千個のキャンドルや、30万発以上の創作花火が地域や人々の心を明るく照らした。住民や観光客に惜しまれながら、幻想の明かりが静かに消えた。

 町民有志でつくる実行委が2003年から開いてきた。町中を明るく照らすキャンドルや創作花火が見どころで、町内外から1万人以上が訪れる。しかし、イベントを運営する実行委の負担増によって今年の第20回での終了が決まった。

 最後のイベントは午後6時ごろ、町民らが砂浜のキャンドルを点灯し始まった。日が沈み始めるとキャンドルの光が徐々に浮かび上がり、闇夜を照らす“いさり火”が出現。オレンジ色の光が揺らめく中、家族連れやカップルがキャンドルの近くを散策したり、写真愛好家がシャッターを切ったりするなど思い思いの時間を過ごした。

 同8時からは、地元の花火集団「櫓龍(やぐらドラゴン)」が、おもちゃ花火を組み合わせた手筒花火などを披露。名田庄太鼓保存会「勇粋連(ゆうすいれん)」(おおい町)や水中花火とコラボし、華やかな花火や太鼓の音色で会場を盛り上げた。約1万3千人(主催者発表)がパフォーマンスを見守り、演目が終了すると大きな拍手が送られた。

 実行委の村宮嘉彦委員長(65)は「今年で最後となるのは非常に残念だが、ここ2年(コロナ禍で)できなかった分も合わせ、有終の美を飾れて良かった」と話していた。

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