栃木県内自宅療養者2万人超 24市町が独自支援 食料配送、買い物代行

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(米国立アレルギー感染症研究所提供)

 新型コロナウイルスの流行「第7波」で感染者が急増する中、栃木県内の自宅療養者は1日現在で2万1112人に上っている。外出できない療養者の生活支援のため、宇都宮市を除く県内24市町が独自の事業に取り組み、食料品や日用品を届けたり、買い物を代行したりするサポートを行っている。ただ、感染者が急速なペースで増え続ける中、一部市町では支援に遅れが出るなどの影響も生じている。

 自宅療養者(療養先調整中含む)は6月下旬は千人以下で推移したが、7月に入り増加。23日に1万人、1週間後の30日に2万人を超えた。第6波のピークは2月11日の7318人で、当時の3倍に拡大している。

 食糧確保が困難な自宅療養者に対して、県はレトルト食品や缶詰など5日分の食料が入った物資を無料で配送している。しかし届くのが申請の翌々日になることもあり、各市町は県の物資が届くまでのつなぎとして食料品や衛生用品などを届けている。

 支援物資を届けているのは足利、栃木、佐野、鹿沼、日光、小山、大田原、矢板、那須塩原、さくら、那須烏山、下野、上三川、益子、茂木、芳賀、壬生、野木、高根沢、那須、那珂川の21市町。療養者の申請に応じて対応している。

 スーパーなどでの買い物を代行するのは真岡市、市貝町、塩谷町のほか、物資提供も行う那須塩原市と芳賀町を加えた計5市町。真岡市の担当者は「療養者の細かいニーズに応えることができる」と代行のメリットを説明する。

 中核市として保健所を設置する宇都宮市は「県の配食サービスの利用を促している」として独自の支援には取り組んでいない。

 物資調達には市町の予算が使われる例が多いが、大田原市や矢板市は防災備蓄品の在庫を提供。芳賀町と高根沢町がフードバンクで集めた物資を提供するなど、予算を投じずに調達する自治体もある。

 一方、ニーズの急増で療養者への食料配送が数日遅れるケースや、確保していた物資が不足する恐れなども出ている。

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