「核兵器は愚かなものです」 国連 事務総長が広島に 強い危機感と決意

広島・原爆の日の6日、国連のグテーレス事務総長が、初めて平和記念式典に出席しました。原爆資料館を視察したほか、被爆者とも交流しました。

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国連 アントニオ・グテーレス事務総長(平和記念式典)
「ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ」

グテーレス事務総長が読み上げたスピーチには、強い危機感と決意が現れていました。

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国連のグテーレス事務総長は、岸田総理とともに原爆資料館を視察しました。案内した滝川館長によりますと、被爆から10年後に12歳で亡くなった佐々木禎子さんの展示を熱心に見ていたということです。

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この視察に先立ち、グテーレス事務総長は、初めて平和記念式典に参列しました。その背景には核戦争への強い危機感がありました。

1日からニューヨークで始まった核軍縮や不拡散を話し合うNP(核拡散防止条約)の再検討会議。グテーレス事務総長は、「人類は広島と長崎の恐ろしい教訓を忘れつつある」と訴えました。

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ロシアによるウクライナ侵攻で、プーチン大統領は「主権を守る必要がある場合には使用する」と発言するなど、核兵器の使用をちらつかせています。こうした状況に、グテーレス事務総長は、「核の脅威は冷戦の最盛期並」だと指摘しています。

一方で、原爆の日の直前に広島市を訪れたロシアのガルージン駐日大使。「原爆の日に合わせ、犠牲になった人たちに黙とうを捧げにきた」と原爆慰霊碑に献花しました。

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RCCの取材に応じたガルージン大使は、「ロシアが核兵器の使用について言及したことはない」と反論したうえで…。

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ロシア ガルージン駐日大使
「ウクライナにおけるロシアによる核兵器の使用があり得ないということを、明確に広島の市民のみなさんに言っておきたいと思います」

― 核兵器は使わないとはっきり言えますか?
「そうです。もちろん」

そうした中で迎えたことしの8月6日…。グテーレス事務局長のスピーチには、核兵器使用への危機感とともに核兵器廃絶への強い気持ちが現れていました。

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国連 グテーレス事務総長(平和記念式典)
「核兵器は愚かなものです。核兵器保有国が、核戦争の可能性を認めることは断じて許容できません。人類は、実弾が込められた銃で遊んでいるのです」

グテーレス事務総長は、「中東・朝鮮半島、そしてロシアによるウクライナ侵攻へと核の脅威が急速に広がっている」と指摘しました。

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国連 グテーレス事務総長(平和記念式典)
「わたしたちは、広島の恐怖を常に心に留め、核の脅威に対する唯一の解決策は核兵器を一切持たないことだと認識しなければなりません。被爆者の方がたのメッセージを聞き入れてください。世界は、この地・広島で起こったことを決して忘れてはなりません」

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そして、指導者に対しては「核という選択肢を永遠に取り下げてほしい」と訴えました。

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その後、被爆者とも交流しました。一部、非公開で行われた交流の場で、13歳のときに被爆した篠田恵さんは、「世界にはまだ1万3000発の核兵器が存在している。1つでも使われたらいけない」と訴えたといいます。

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13歳のときに被爆 篠田恵さん
「(広島に投下された原爆)リトルボーイの何百倍、何千倍のもの。あれを1発でも落とされたらたいへんだし、悪魔の兵器ですっていったら、『その通りです』と言ってくれた」

グテーレス事務総長が広島を訪れたことについて、篠田さんは、「核兵器廃絶へ少しだけど前に進んだのではないか」と話していました。

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グテーレス事務総長は、午後には核兵器廃絶に向けて取り組む若い世代と交流しました。

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若い世代へは、「被爆者が始めた核兵器廃絶という任務を成し遂げてほしい」と語りかけました。

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