鎮魂の式典に厳重警備 3年ぶり一般参列、会場内に制服警官も

SPらに囲まれて会場に到着した岸田文雄首相(中央)=9日午前、平和公園

 新型コロナウイルスの流行第7波の中、長崎市は平和祈念式典の一般参列を3年ぶりに再開。被爆者の歌声や誓いを直接聞いた参列者は平和への思いを新たにし、鎮魂の祈りをささげた。安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、式典は厳重な警備体制が敷かれた。
 「厳かな雰囲気を感じることができた」。西彼時津町の被爆者、早川幹雄さん(80)は初めて参列した。例年は入場自由で2300席用意されるが、今年は密集を避けて700席を事前募集。「被爆者として一度は絶対に行きたい」との思いで申し込んだ。「次代を担う若者が司会や合唱で活躍し頼もしく感じ、自分の身も引き締まった」と振り返った。
 長崎市住吉町の主婦、渡辺さつきさん(41)は親子で平和を学ぼうと長崎大付属小1年の匠音君(6)と初参列。被爆者の合唱を聞き、平和は当たり前ではないと感じ、「主人を連れてまた参加したい」。
 同市水の浦町で被爆した西彼長与町の女性(79)は原爆で父親を亡くし、22歳から毎年式典に参加。「(コロナ前まで)例年は立ち見の人がいるほど。本当はみんなが参列できる形が良い」と漏らした。
 市や県警は会場周辺の巡回者を増やし、要人の周囲にはSP(警護官)や私服警察官のほか、制服警察官を配置した。長崎市西出津町の林田征五さん(79)は「警備がかなり厳重で安心して参列できた。平和を祈る式典で銃撃事件は起きてはならない」と語った。


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