8月上旬の大雨で水源地崩壊、水道復旧めど立たず…福井県勝山市の集落 イワナ養殖場や学校も影響深刻

かつやま子どもの村小中学校の校舎屋上の水槽に給水する勝山市職員=8月29日、福井県勝山市北谷町河合

 福井県奥越地域を襲った8月4日の大雨の影響で、山あいの勝山市北谷町谷の水源地が崩壊し、谷集落と近くのかつやま子どもの村小中学校で上水道の断水が続いている。夏休みが終わり学校が再開した29日現在も復旧のめどは立っておらず、市は給水車などで対応。谷集落ではイワナ養殖場の魚が全滅するなど深刻な被害が出ている。

 市によると、水源地から引いた水をためておく配水池の水が17日になくなり、断水した。市は8月中の復旧を目指してきたものの、山中の施設で重機が使えず「作業が難航しており、見込みが立っていない」(市災害対策本部)状況だ。

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 市は29日朝、同校の始業に合わせ給水車を派遣し、校舎屋上の水槽などを満杯にした。今後も1日当たり1~2回給水し、「不便がないように精いっぱい対応したい」(市上下水道課)という。児童生徒80人余りが併設の寮で生活しており、同校は「シャワーの時間を短くするなどして、節水を心がけたい」としている。

 谷集落では民家7軒が依然断水しており、市が給水を続ける。1人暮らしの女性(87)は「洗濯は川の水などを使っている。ポリタンクで水を運ぶのは重くて大変で、早く復旧してほしい」と訴える。

 地元の産業にも影響が出ている。集落の奥にある谷淡水魚生産組合のイワナ養殖場は土石流に襲われ、いけすに水を流すための水門は跡形もなくなった。組合長(72)は「約3万匹が全滅した」とやりきれない表情を浮かべる。10のいけすのうち一つは擁壁が崩壊し土砂に埋まり、「もう使い物にならない」と話す。

 それでも組合長は「もう少し頑張りたい。行政の力も借り、何とか復旧させたい」と前を向く。市農林課は「市としても早急な復旧への支援を検討している」とした。

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