「西九州観光まちづくりAWARD」 大賞に奥津さん(長崎県・雲仙) 在来種野菜を守り継ぐ

大賞を受賞した奥津さん(左)=雲仙市(写真はJR九州提供)

 西九州新幹線の開業に合わせ長崎、佐賀両県の魅力を全国に発信しようと創設した「西九州観光まちづくりAWARD」について、JR九州は31日、受賞者を発表した。雲仙市の奥津爾(ちかし)さんが運営する直売所を拠点として在来種野菜を守り継いでいる活動が評価され、大賞に選ばれた。
 AWARDは両県で伝統や伝承を守りながら新しい「もの」「こと」「風景」などを生み出している人や団体に光を当て、全国に西九州エリアの魅力を発信することが狙い。45の個人・団体から応募があり、6人でつくる審査委員会(委員長・古宮洋二JR九州社長)が選出した。
 奥津さんは、地元農家が守ってきた野菜の多様性を地域内外に発信するため、「オーガニック直売所タネト」を雲仙市で運営。生産者と消費者をつなぐ拠点となり、「(活動の)広がり自体が観光の目的となる唯一無二の取り組み」と評価された。
 特別賞には、東彼波佐見町の波佐見焼産地問屋の馬場匡平さんと東彼東彼杵町で移住者支援などをしている森一峻さんが選ばれた。
 馬場さんは波佐見焼の認知度向上に努める一方、町内に私設公園を開設するなど「未来につながる地域への還元を図る姿勢」、森さんは地域の交流・情報発信拠点の「ソリッソリッソ」を運営し、移住者に仕事の試しの場を提供するなど、住民と移住者の「協働」を生み出す活動がそれぞれ評価された。
 このほか、大賞に佐賀県嬉野市の嬉野茶、肥前吉田焼、温泉の三つを結び付け魅力を発信しているプロジェクト「嬉野茶時」、特別賞に同市の酪農家、中島大貴さんも選ばれた。9月9日に都内で授賞式が開かれる。


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