優れた現代詩に贈られる第30回萩原朔太郎賞(群馬県前橋市など主催)が9月2日発表され、福井県小浜市出身の詩人、川口晴美さん(60)=東京都=の詩集「やがて魔女の森になる」(発行・思潮社)が選ばれた。
社会の中で長く抑圧されてきた女性たちの声に耳を澄まし、言葉として表現した詩集。川口さんは「受賞によって、見過ごされてきた声に光が当たったと受け止めたい。今後もさまざまな人の立場になり、声にならない声を詩という器にすくい取っていきたい」と話した。
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選考委員は「自分にまなざしを向けながら、生活の中で世界を柔らかく捉えている。優れた感覚に新しい視点を盛り込み、詩の可能性を切り開いている」と評した。
同賞は、福井県関係では2005年に荒川洋治さん(坂井市出身)が受賞している。
川口さんは1962年生まれ。福井県立若狭高校から早稲田大学第一文学部卒業。16年に詩集「Tiger is here.」で高見順賞。詩誌「歴程」同人。