被災地と絆結ぶ包丁ブランド発足 越前打刃物職人から大雨被害の福井県南越前町に70本寄贈「笑顔の食卓取り戻して」

被災地支援ブランドの包丁を岩倉光弘町長(左)に手渡す弥氏良寛さん(中央)=9月1日、福井県の南越前町役場

 越前打刃物の共同工房「タケフナイフビレッジ」(福井県越前市余川町)の打刃物職人弥氏(やうじ)良寛さん(39)が、福井県南越前町の大雨被害をきっかけに被災地支援の包丁ブランドを立ち上げ9月1日、製作した70本を同町に寄贈した。浸水被害を受けた多くの住宅では台所が使えず調理器具も流されており、弥氏さんは「笑顔の食卓を取り戻してほしい」と話している。

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 ブランド名は「結(ゆい)」。刃の部分にブランド名の印を入れて被災地支援の証しを表すことで、助け合いの思いを記憶にとどめてもらえるよう願いを込めた。柄には防菌・防虫効果のあるヒバ材を使用している。

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 包丁は、若手職人7人と協力して製作し、福井伝統工芸アイドル「さくらいと」のメンバーも作業を手伝った。取り組みに賛同した中西木材(越前市)がまな板70枚を用意し、合わせて寄贈した。

 南越前町役場で一行から寄贈を受けた岩倉光弘町長は「大変ありがたい。困っている人の手に届くようにして、大事に使わせてもらいたい」と感謝を伝えた。

 弥氏さんは、今後災害が起きた際にもブランド包丁の寄贈活動を続けていくことにしている。「県全体で被災地支援ブランドとして定着させていきたい」と、他の伝統工芸産地への広がりにも期待している。

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