チェコスロバキアの山岳地帯に暮らす老人たちの日常と人生哲学 ドキュメンタリー「百年の夢」公開決定

1972年に共産党政権下のスロバキア共和国で製作されたものの、完成から16年間に渡り輸出禁止とされていた、ドゥシャン・ハナーク監督によるドキュメンタリー映画「百年の夢」が、「百年の夢 デジタル・リマスター版」として12月3日より劇場公開されることが決まった。

ポーランドとチェコスロバキアの国境からウクライナを経てルーマニアに至るカルパチア山脈の東側にある、スロバキアのファトラ山地。「百年の夢」は、このやせた土地で、厳しい自然条件や孤独と闘いながら、農業や羊飼いを生業(なりわい)として暮らす70歳以上の老人たちを、日常生活とインタビューを通して描いた作品である。からくり人形作りに熱中する老人、第一次世界大戦への従軍でドイツ語、フランス語、ロシア語を始め数カ国語を理解できると語る老人、めんどりとともに暮らし、めんどりに聖書を読んできかせる老人らが、愛や家族、夢、労働や人生の意義などを語る。

本作は、1972年に共産党政権下のスロバキア共和国で製作されたが、16年間の長きに渡り、当局によって輸出禁止とされていた。禁止が解かれた直後の1988年には、ニヨン国際映画祭グランプリを始め、ライプツィヒ国際映画祭でドン・キホーテ賞と国際批評家連盟賞を受賞し、香港国際映画祭などで上映された。日本では、1989年の第一回山形国際ドキュメンタリー映画祭にて、特別招待作品として上映され、3年後の1992年5月に劇場公開された。

【作品情報】
百年の夢 デジタル・リマスター版
2022年12月3日(土)~ シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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