川棚町長選 終盤情勢 町政「継続」か「刷新」か

(右から届け出順)波戸勇則候補、山口文夫候補

 継続か、刷新か。川棚町長選は、新人の波戸勇則候補と現職の山口文夫候補が、子育て政策や高齢者福祉を巡り舌戦を繰り広げている。
 波戸候補は「We Can Change」をキャッチフレーズに町長報酬20%カット、買い物弱者向け交通サービスの運行などを挙げ「議員として反映できなかった声を民間感覚も生かし町政に取り入れたい」とトップの若返りを訴える。
 豊富な行政経験と庁舎建て替えなど3期12年の実績を掲げる山口候補。東彼杵道路の早期着工については「あと1期必要」。培った国や県とのパイプを生かし、自身の総仕上げの事業として意欲を見せる。
 こども園を運営する波戸候補は「子育てにはお金がかかる」と学校給食無償化など手厚い支援を訴える。対する山口候補も子育てには重きを置き「本町の子育て政策はすでに本県トップクラス」とけん制する。
 波戸陣営は町議の田口一信氏(73)が選対委員長を務め、前回、山口候補に敗れた毛利喜信氏(47)も加わる。田口氏も12年前に三つどもえの戦いで山口候補に敗れ「弔い合戦」と見る向きもある。8月下旬から各地で集会を開催しており「現町政への不満も出る。手応えはある」と陣営幹部。批判票、浮動票の取り込みも急ぐ。
 山口陣営は台風接近のため告示日6日の出陣式を翌日に延期した。ただ人出は波戸陣営を上回り組織力をうかがわせた。一方で「コロナ対策の司令塔。人を集めるわけにはいかない」と集会を自粛しており、対話に重きを置く波戸陣営とは対照的だ。陣営幹部は2月の県知事選を念頭に「現職だからと油断は禁物」と終盤の陣営を引き締める。
 県と佐世保市が計画する石木ダム建設問題は両候補とも推進の立場。波戸候補は「ダムと治水対策について県と話し合いを進める」と公約。山口候補はダムを口にせず、法定ビラにも記載はない。
 両陣営ともに投票率は前回の52.6%を数ポイント上回ると予想している。有権者数は1万1364人(男5286、女6078)=5日現在、町選管調べ=。


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