備中神楽の魅力 野外舞台で堪能 井原・中世夢が原に名太夫集う

神々が天照大神を誘い出す様子を軽やかに演じた「岩戸開き」

 国重要無形民俗文化財・備中神楽の名太夫が岡山県内各地から集う「中世夢が原大神楽」が10日夜、井原市美星町三山の歴史公園・中世夢が原で開かれた。新型コロナウイルスの影響で3年ぶり。初秋のひんやりとした野外舞台で繰り広げられる勇壮な舞を、約500人が堪能した。

 井原、笠岡、倉敷市などの太夫13人が出演。清めの神事舞の後、古事記や日本書紀といった神話を題材にした「神代神楽」のうち「岩戸開き」「国譲り」「大蛇(おろち)退治」の3演目を披露した。

 「岩戸開き」では、岩屋にこもった天照大神(あまてらすおおみかみ)を、神々がさまざまな手を使って誘い出す様子を軽やかに演じた。国を巡る神々の戦いを描いた「国譲り」のクライマックスでは、太夫が太刀や長剣を手に急調子の太鼓に合わせた大立ち回りを迫力いっぱいに披露した。

 津山市から訪れた男性(67)は「舞や太鼓の響き、面白い掛け合いなど神楽には魅力が詰まっている。久しぶりに見ることができてうれしい」と話していた。

 備中神楽伝承研究会などが年1回開催しており25回目。

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