自然穏やかに表現 竹喬の世界堪能 笠岡の美術館で40周年記念展

太平洋を望む波切村の風景を描いた「波切村」

 笠岡市六番町の市立竹喬美術館で、同市出身の日本画家・小野竹喬(1889~1979年)の画業を振り返る「開館40周年記念 移ろふ自然 小野竹喬展」が開かれている。来館者は、四季折々の自然風景を穏やかな表現で描き続けた竹喬芸術の世界を堪能していた。12月18日まで。

 10月に開館40年を迎える節目に、改めて竹喬作品の魅力を伝えようと企画。所蔵する1709点の中から前後期で作品を一部入れ替えながら計85点を展示する。

 竹喬の故郷・同市富岡からの夕景を捉えた「落照」、澄んだ青空を背景に秋風に揺れるススキなどを爽やかな色合いで表現した「野辺」などが並ぶ。太平洋を望む波切村(なきりむら)(現三重県)の穏やかな朝の海を右隻、荒れた夕方の海を左隻に描いた四曲一双の「波切村」も目を引く。

 同館の田辺咲智学芸員は「素直なまなざしで描かれた自然とともに、年代ごとの作風の変化も楽しんでほしい」と話している。

 10月9日午後1時半からは学芸員と参加者が対話しながら作品鑑賞を楽しむイベントを開く。対象は小学生以上で、事前に申し込みが必要。

 一般500円。笠岡市民、市外の高校生以下、65歳以上は無料。月曜休館(祝日の場合は翌日)。問い合わせは同館(0865―63―3967)。

竹喬の画業を振り返る開館40周年記念展

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