レディース杯ゴルフ16日開幕 目指せ「瀬戸内の女王」120選手が熱戦

瀬戸内の女王の座を懸けた熱戦が幕を開ける=昨年の大会から

 女子プロゴルフのステップアップツアー「山陽新聞レディースカップ」は16日から3日間、玉野市の東児が丘マリンヒルズGC(6360ヤード、パー72)で開催される。3年ぶりに有観客となる第13回大会。次代を担うルーキーから実績十分のベテランまで計120人が「瀬戸内の女王」の座を懸け、熱く華やかな戦いを繰り広げる。

 プロは113人が参戦。昨秋のプロテストを突破した新人でツアーの賞金ランキング首位を走る18歳の桜井心那、3位の大林奈央をはじめ、前回準優勝の永嶋花音、レギュラーツアー13勝の成田美寿々、原江里菜らがエントリーした。岡山ゆかりの選手では丹萌乃、成沢祐美、須江唯加の新人、2020年大会覇者の石川怜奈、藤本麻子ら作陽高OGが名を連ねた。

 アマチュアは7人。同年代トップクラスの力量を誇る森愉生(理大付高)や渋野日向子の妹でプロツアー初出場となる暉璃子(明大、朝日高出)らが挑む。

 若手の育成を目的としたステップアップツアーの今季第10戦で、新型コロナウイルスの感染対策を徹底し、観客の上限は各日3千人。2日間36ホールストロークプレーの予選ラウンドを行い、60位タイまでが最終日の決勝ラウンドへ進む。賞金総額3千万円、優勝賞金540万円。上位2選手は姉妹提携トーナメントの「大王製紙エリエールレディスオープン」(11月17~20日・松山市)の出場権を得る。

 10年に創設された大会は、これまで数多くのトッププロを輩出してきた。前回、優勝した岩井明愛(あきえ)とともに出場した双子の妹、千怜(ちさと)が8月のレギュラーツアーで2週連続優勝を飾ったのは記憶に新しい。岡山県屈指の難コースを舞台に、飛躍へのきっかけをつかむのは誰か。ニューヒロインの誕生に期待が集まる。

注目選手紹介

 「山陽新聞レディースカップ」にはステップアップツアー優勝者や昨年のプロテストを突破した有望新人、実力派の地元アマチュアらが参戦する。活躍が期待される選手にスポットを当てた。

津山出身の23歳 須江唯加 岡山で“反攻”ののろし

 生まれ育った岡山で“反攻”ののろしを上げる。

 昨秋の最終プロテストを突破し、ステップアップツアー1勝を目標に掲げて臨んだ今シーズン。3月の開幕戦で3位と好スタートを切ったものの、2戦目以降は予選落ちが続き「ショット、パットがなかなかかみ合わなかった」と振り返る。

 津山市出身の23歳。両親の影響で物心がついた時にはクラブを握っていたという。ショートゲームを得意とし、北陵中時代には全国中学校選手権で準優勝。作陽高では2年前の山陽新聞レディースカップを制した同級生の石川怜奈らと腕を磨いた。

 苦しい戦いを強いられる中、身近なライバルの活躍を発奮材料にする。作陽高の後輩でプロ同期の尾関彩美悠は早くもレギュラーツアーに主戦場を移し、幼なじみの久常涼は男子ツアーで好成績を挙げている。

 「岡山から逆襲します」。3年ぶりの出場となる大会でこれまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすプロ初勝利を目指す。

賞金ランクトップ 桜井心那 飛距離武器の18歳新人

 18歳の新人プロは間違いなく主役候補の一人だ。

 166センチ、62キロの体を目いっぱい使った豪快なスイングから繰り出す平均飛距離240ヤードのドライバーが最大の武器。ここまでステップアップツアーには9試合に出場し、トップ10入りが5度。6月のECCレディストーナメント(兵庫)でプロ初優勝を飾り、賞金ランキングトップを走る。格上相手に2位と健闘したのは8月のレギュラーツアー、北海道meijiカップ。「もっとうまくなりたい気持ちが強くなった」

 自信のあるドライバーに加え、73.5%と高いパーオン率を残す正確なアイアンショットが好成績の原動力だ。一方で「バーディーチャンスを生かせない場面が多い。もっと精度を高めたい」とパットを当面の課題に挙げる。

 長崎県出身者では24年ぶりの女子プロ。今春高校を卒業し運転免許を持っていないため、今季は両親が運転する車で全国各地を転戦している。

 シーズンも折り返しを過ぎた。「(賞金ランキングで)絶対に1位になる」。東児が丘でプロ2勝目をつかみ、来季前半のレギュラーツアー出場権への道筋を付ける。

作陽高出の25歳 丹萌乃 第2の古里で優勝狙う

 「楽しいです」。3年ぶりのプロ生活を満喫している。

 愛媛県出身の25歳。中学卒業後、作陽高での3年間の“武者修行”で成長を遂げた。2018年にはトーナメントへの出場権を争う予選会を経て、ステップアップツアーに参戦。19年にはレギュラーツアーでも戦った。しかし、プロテストの壁をなかなか越えられず、昨年11月、7度目の挑戦で念願の合格を果たした。

 1ラウンド当たりの平均パット数28.72はステップアップツアーで2位。晴れてプロとなった今季は高精度のパッティングを生かし、賞金ランキング9位につける。

 ここまでの最高成績は4月のフンドーキンレディースの準優勝。山陽新聞レディースカップには地元・愛媛からも応援団が駆けつけるという。「調子は上がってきた。思い入れのある岡山で、支えてくれた人たちの前で勝ちたい」。第2の古里で初のタイトルを奪い、恩返しする。

残り8戦 賞金女王争いし烈

 全17戦が組まれた今季のステップアップツアーは、山陽新聞レディースカップを含めて残り8戦。賞金ランキング1、2位に与えられる来季前半のレギュラーツアー出場権を巡る争いも熱を帯びてきた。

 今大会には獲得賞金779万円でトップの桜井心那と696万円で3位の大林奈央をはじめ、5位のO・サタヤ(タイ)、6位の平井亜実、7位篠崎愛らがエントリーした。上位争いはし烈で、桜井と大林は約80万円の僅差となっている。ステップアップツアーでは2番目の高額となる優勝賞金540万円の山陽新聞レディースカップ。今大会の成績次第では賞金女王レースの順位にも変動がありそうだ。

活躍誓う岡山の有望株

理大付高3年 森愉生、玉野・山田中3年 秦悠栞、後楽GC 野上遥香

 岡山県内のアマチュア大会で優勝し、山陽新聞レディースカップの出場切符を手にした森愉生(理大付高3年)、秦悠栞(ふみか)(玉野・山田中3年)、野上遥香(後楽GC)。岡山ゴルフ界の有望株はそれぞれ初陣となる大舞台での活躍を思い描く。

 8月の岡山県ジュニア選手権で出場を決めたのは森と秦。森は、倉敷西中2年で日本ジュニア選手権12~14歳の部を制すなど全国大会での実績は十分だ。自慢のショットに加え「ドライバー、パットも上り調子」という18歳はベストアマに照準を合わす。

 秦は、7番ウッドが武器のショットメーカー。地元玉野市で開催されてきた山陽新聞レディースカップは幼い頃からの「憧れの大会」だ。県ジュニア選手権同様、堅実なゴルフでスコアメークする。

 5月の県レディース選手権で出場権を獲得した野上。岡山・西大寺南小4年で競技を始め、ドライバーに自信を持つ20歳は今大会を夢であるプロへのステップにするという。

大会日程

◆16、17日 予選ラウンド

午前7時半 第1組スタート予定

午後3時半 最終組ホールアウト予定

◆18日 決勝ラウンド

午前8時  第1組スタート予定

午後3時  最終組ホールアウト予定

競技終了後、18番グリーンで表彰式

グリーンの広さとうねり特徴

 熱戦の舞台となる東児が丘マリンヒルズGCは、広くて微妙なアンジュレーションのあるグリーンが特徴の難コースとして知られる。選手にはショット、パットの精度に加え、冷静なコースマネジメントが求められる。

 アウトでは、グリーン内にバンカーがある2番パー5、パー3では最長185ヤードの3番の攻略が鍵。インは553ヤードの打ち下ろしとなる18番パー5がポイントになる。ここでスコアを伸ばすことができるかが勝負の行方を左右しそうだ。

 観戦エリアはインの全9ホールとアウトの1、2、8、9番の計13ホール。

須江唯加選手
桜井心那選手
丹萌乃選手
(写真左から)森愉生選手、秦悠栞選手、野上遥香選手

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