どぶろく 3年ぶり仕込み始まる 新見、10月の土下座まつり向け

船川八幡宮で始まったどぶろくの仕込み

 新見市新見の船川八幡宮で15日、どぶろくの仕込み(市重要無形民俗文化財)が始まった。400年以上続く伝統行事だが、新型コロナウイルスの影響でここ2年は中止を余儀なくされ、3年ぶり。秋季大祭(10月15日)で繰り広げられる御神幸武器行列(土下座まつり、同文化財)に合わせて振る舞われる。

 白装束を身に着けた酒造管理者の氏子や神職ら4人が、境内の酒造殿で作業。しめ縄を巡らせたタンクに、準備しておいた地元産米のこうじや蒸し米、酒母、水などを入れ、かいでかき混ぜると、甘酸っぱい香りが室内いっぱいに広がった。今後、さらにこうじや水を加えて約280リットルを醸造する予定。

 木山知香宮司(26)は「コロナ禍が続く中、無事にこの日を迎えられて安心した。守り続けてきた伝統のどぶろくをおいしく仕上げたい」と話した。

 同行列は裃(かみしも)姿の一行が同八幡宮を発着点に一帯を練り歩き、沿道の人々は腰を低くして迎えるのが習わし。どぶろくは当日と神事が行われる前夜に境内で提供される。

 どぶろく造りは室町時代末期に始まったとされ、醸造許可を受けている神社は全国でも珍しいという。

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