【しぶマリ図鑑】トビハゼ ぷっくりぴょこぴょこ

トビハゼ

 飛び出た目玉にぷっくりと膨らんだ口元。瀬戸内海の干潟などに生息するトビハゼは、発達した胸びれを使いぴょこぴょこと移動する姿が愛らしい。

 市内で採集した個体を館内水槽と屋外ビオトープの2カ所で展示。水槽は約30分のサイクルで潮の干満を再現しており、陸上と水中での動きの違いに注目したい。えらだけでなく、皮膚でも呼吸できるので、水から上がり、胸びれを器用に使い木の枝にしがみついているような姿も見られるかも。

 海藻のアマモが茂るビオトープは、より自然環境に近づけるため淡水と海水が混じる汽水を使用。ハクセンシオマネキと仲良く共生する姿を楽しめる。個体数の減少で、高知県など一部地域では採取も禁止されているトビハゼ。小さな体で生態系の豊かさを示す指標にもなっている。

 成体で体長10センチ程度。色や模様も華やかではないが、「意識して見ると行動一つ一つがとてもかわいい。自然での生息環境などにも思いをはせてもらえれば」と岡秀彦館長は話す。

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 岡山県内唯一の水族館、玉野海洋博物館(玉野市渋川、愛称・渋川マリン水族館=しぶマリ)で飼育展示している生き物を紹介する。

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