「すごく濃い夏」有終 “世界の水沼”地元・栃木で本領

成年男子100メートルバタフライ決勝で接戦を制して優勝し、ガッツポーズをする水沼=17日午後4時15分、日環アリーナ栃木屋内水泳場

 注目を一身に浴び、“世界の水沼”の泳ぎを堂々と披露した。「いちご一会とちぎ国体」競泳成年男子100メートルバタフライで優勝した水沼尚輝(みずぬまなおき)(25)=栃木県真岡市出身、新潟医療福祉大職員=は常に上を目指して努力し、成長を続けてきた。東京五輪で世界の壁にはね返されて1年。「来年こそは世界と戦う」と覚悟を持ってレベルアップし、6月の世界選手権で日本人初のメダリストとなる銀メダルも獲得した。「すごく濃い夏だった」と充実した表情を浮かべ、今夏の最終戦を最高の形で締めくくった。

 地元国体に臨むに当たり、自分を世界のトップスイマーの姿と重ね合わせていた。ハンガリーで行われた世界選手権決勝で隣のレーンを泳ぎ、大歓声を浴びて金メダルを獲得した地元出身のミラク。規模は違うが「僕もそういう立場にいるのかな」と自覚した。

 作新学院高時代まで生活した栃木県。恩師大畑豊(おおはたゆたか)コーチ(フィールドビックSS)らに成長した姿を見せる場でもあり「感謝を込めて泳ぐことができるのがこの国体」との思いを持つ。さらに注目を集める立場で「自分の力を出してみんなを勇気づけることができればいい」と決意を強めた。

 日本選手権などは最終日に行われることが多いこの種目。国体では競技初日で表彰台の頂点に立ち、「チーム栃木にいい流れをもたらすことができた」と大きくうなずいた。

 宣言通り今夏の世界選手権でメダルを獲得し、日本新記録も更新した有言実行の人。常にベストパフォーマンスを求め、毎年のように自己ベストを更新し、過去の自分を超えてきた。それはこれからも変わらない。「結果で満足してはいけない。連続でメダルを取り続けることが本当の力だ」。目線は来年の世界選手権、そしてパリ五輪に向いている。

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