きょうから10月

 あれっ、ひと回り小さくなったような…と買い物や外食のたびに感じるのは気のせいなのだろうか。それとも、これまで通りの価格を維持するための、しかし隠しきれない自衛策の表れなのか▲きょうから10月。カレンダーが1枚めくれて押し寄せてくるのは、もっと明示的な値上げの波だ▲缶ビールに缶酎ハイ、マヨネーズやハム・ソーセージ。ペットボトルの飲み物に加熱式たばこ。人気の回転ずしチェーンで「税込み110円」のお皿が姿を消し、ハンバーガー店や牛丼店、ファミレスでもメニューが書き換わる…などと書き並べるだけで、この欄の行数がどんどん埋まっていく▲原材料価格の高騰、円安に原油高。そこに加えて、価格改定が広範囲に及んでいることが企業の決断のハードルを下げ、別の値上げの呼び水になっているとの分析もあるようだ。みんなで渡れば怖くない、と▲日銀総裁が「家計は値上げを受け入れている」と発言して世の怒りを買い、不用意でしたと撤回したのは6月だった。そもそも、その前から「物価高対策」は今年の経済政策のメインテーマだった▲あの後、見るべき対策が何かあったっけ…思い返そうと試みて何も思い出せずにいる。2022年の第4コーナー、庶民は「ぢっと手を見て」過ごすことになるのだろうか。(智)

© 株式会社長崎新聞社