栃木国体 サッカー成年男子 大分県サッカーに新たな歴史を刻む優勝 【大分県】

第77回国民体育大会(栃木国体)

サッカー 成年男子

10月5日 栃木県グリーンスタジアム

決勝 大分県1-0岐阜県

単独チームで栃木国体のサッカー成年男子に出場したヴェルスパ大分が、「狙い通り」に頂点に立った。決勝戦でJ3岐阜のセカンドチームを主体とした岐阜県代表に1-0で勝利。かつて国体サッカーでは、成年男子だけでなく少年男子、女子カテゴリーでの優勝はなく、県勢で初めてのタイトルを手にした。

それはJ3昇格を目指すチームの意地だったのかもしれない。決勝戦を前に山橋貴史監督は、「ここでタイトルを取らないと記録にも記憶にも残らない」と選手に伝えた。今大会にはJFLで上位を争う大阪府代表のFC大阪の他、高知県代表の高知ユナイテッドSC、島根県代表のFC神楽しまね、宮城県代表のソニー仙台FCが出場するも決勝までたどり着けなかった。ライバルたちに力を見せつけ、大分県の名を背負ってタイトルを取ることが次へのステップになると信じていた。

4日で4試合をこなす過密日程だったが、選手はそれを言い訳にしなかった。試合序盤にキャプテンの篠原宏仁は、球際で激しく相手に当たり攻撃の芽を摘む。「自分の気持ちを奮い立たせ、チームにも今日の試合はこの強度で行くぞとスイッチを入れた」。技術で上回り、プレー強度でも相手を上回ると、次々と相手ゴールに迫った。ただ、相手も食い下がり、クロスを懸命に弾き返し、身をていしてシュートブロックに入るシーンが幾度となく見られた。

決勝点を挙げた前田央樹

全試合にフル出場した篠原が力を込めて言う。「決勝戦という舞台では、技術や戦術より勝ちたい気持ちが大事。なかなか点が入らなかったが、焦ることはなかった」。後半もヴェルスパはボール支配率で上回り、球際の攻防でも圧倒する。すると、ここまで決定機を逃していたエース前田央樹が右足で値千金のゴールを奪う。「みんなに迷惑を掛けていた。得点の場面は(渡辺)柊斗のパスを流し込むだけだった」と面目躍如。1点リードしてからは相手の猛攻を、柔軟に受け止めては力強く跳ね返す。残り10分強で「5バックにして逃げ切りを図った」と山橋監督の狙いをピッチにいる選手が理解し、密な連係で数的有利を保って対応し、ついに優勝決定のホイッスルが鳴り響いた。

山橋監督は「タイトなスケジュールだったが選手が最後まで頑張ってくれた。タイトルを取る難しさを経験し、チームとして成長するきっかけとなった」と総括し、篠原は「これまでサポートしてくれて大分県に形として恩返しができた。連戦を乗り越え、結果を出したことは自信になる」と話した。タイトルを意識して戦い、そして勝ち取った。そこに大きな意味がある。J3昇格への追い風になるはずだ。

国体サッカーでの県勢初優勝となった

(柚野真也)

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