「最後の被爆漫画家」西山進さん死去 被爆者ら追悼「励まされた」

 被爆漫画家、西山進さん死去の報に、親交があった被爆者らから追悼の声が上がった。
 西山さんが40年以上、被団協の機関紙で連載した4こま漫画「おり鶴さん」。今夏、関係者の手で単行本化され、西山さんは喜んでいた。出版に携わった長崎原爆被災者協議会の横山照子副会長(81)は「元気なうちに完成してほっとした。柔らかなタッチの絵で、被爆者を励ましてくれた」と功績をたたえた。
 被団協の田中熙巳代表委員(90)は訃報に接し、被爆者仲間と黙とうした。数十年前、西山さんが被団協の歴史を漫画で分かりやすく伝える内部資料を作ってくれたという。「優しくユーモアがあり、長崎で被爆した者同士、気楽に話せる人だった」と悼んだ。
 長崎市の市民団体「ピースバトン・ナガサキ」代表の調仁美さん(60)は西山さんの体験を語り継ぐ「交流証言者」として昨年から活動。6日に見舞う予定だったが、訃報を受け病院に駆けつけた。「安らかな表情だった。西山さんが残してくれたことを多くの人に伝えたい」と話した。


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