バドミントン少年男子決勝へ 栃木出身・櫻井 長崎で成長 地元でラストゲーム

【バドミントン少年男子準決勝、長崎―大阪】長崎の第2シングルス櫻井(瓊浦高)が粘り強くシャトルを拾いに行く=大田原市、栃木県立県北体育館

 絶対的エースが「地元国体」で躍動した。瓊浦高単独で編成したバドミントン少年男子の櫻井は宇都宮市出身。第1シードで臨んだ今大会、主将として、エースとしてチームを決勝の舞台に導き、会場で見守った両親や友人らに成長した姿を示した。
 二つ上の姉の影響で、小学1年から近くのクラブチームでラケットを握った。試合で勝つ楽しさを知ると、4年生のころから全国大会の常連になった。5、6年時にはU13日本代表に選ばれるまでになった。
 だが、中学時代の前半は身長の伸び悩みとともにスランプに陥り、栃木国体の地元強化選手に落選。「もうやめよう」とも思った。でも、バドミントンはすでに生活の一部。「負けてはいられない」。もう一度、トレーニングを見直しながら地道に努力を続けた。3年時には再び全国の舞台へ戻っていた。
 姉が地元の強豪校で寮生活を送っていたこともあり、不思議と卒業後に家を出て、越境入学することに迷いはなかった。そこで選んだのが長崎県の瓊浦高。複数の学校を見学に行った中で、林監督の細かな指導や先輩たちの雰囲気にひかれた。
 当然、両親は「西の果ての知り合いもいない場所で大丈夫か」と心配した。「1年生のころは日々の生活に慣れるので精いっぱいだったと思う」(林監督)。でも、弱音は吐かなかった。部内競争の中で徐々に頭角を現すと、いつしかチームの主力に成長していた。
 迎えた最終学年。夏のインターハイ団体で長崎県勢初となる日本一に輝いた。南本と組んだ第1ダブルスは全勝で、個人ダブルスも準優勝した。その結果が認められ、U19日本代表に追加招集された。
 今回の“ホーム戦”は3位だった春の全国高校選抜大会に続いて2度目の凱旋(がいせん)試合。「あの時は大事なところで負けたから、勝っていいところを見せたい」。その決意通りに、この日は長崎で培ってきた成果を存分に披露した。そして、きょう10日は地元でのラストゲーム。初めて試合を見に来てくれる祖父母、支えてくれた両親のためにも「絶対に負けられない」と心に誓っている。


© 株式会社長崎新聞社