島原城を観光の軸に

 「島原といえばお城」というイメージを持つ人は、少なくないだろう。島原市の観光のシンボル島原城では2024年の築城400年を控え、多彩な記念事業のほか、天守閣の外装改修工事が進められている▲支局勤務の頃から約20年ぶりに訪れた。天守閣は予想通り工事用シートですっぽり覆われていたが、入場はできた。入り口の前で、女性が天草四郎や歴代城主に仮装した七万石武将隊に迎えられた。「土日祝日は私たちの演舞もあるんですよ」とのこと▲初代藩主の松倉重政が築城。キリシタン弾圧下、島原の乱が起きる-。波乱の歴史を、マリア観音像など貴重な品々とともに分かりやすく展示。城巡り、刀剣、武将、アニメなどのブームも踏まえて、デジタル技術を駆使するなど新たな仕掛けも▲以前は城の活用について、もう一つ踏み込めていない印象があった。今回、賛否はあるかもしれないが何でもありのパワーは感じた。担当者は「よそと同じことをしていても駄目。まだまだ変えていかねば」と意欲的だ▲狂言や琴など郷土芸能の継承や藩政時代を学ぶ取り組み、周辺の電線地中化などハード、ソフトの環境整備も進む▲改修完了は来年2月末の予定。市民の理解と協力を得ながら、城を軸とした島原観光の歯車が本格的に回り出すことを期待したい。(貴)


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