粟井春日歌舞伎 絵巻のような世界 美作で保存会熱演

鎌倉期のあだ討ちを題材にした「寿曽我対面」

 美作市粟井地区に受け継がれる粟井春日歌舞伎(市無形民俗文化財)の定期公演が8日、粟井中の歌舞伎舞台・春日座で開かれた。保存会の役者らが積み上げてきた稽古の成果を披露し、時代絵巻のような世界に観客をいざなった。

 演目は、鎌倉時代のあだ討ちを題材にした「寿曽我対面(ことぶきそがたいめん)」、平家の武将で歌人の平忠度が登場する「一谷嫩(いちのたにふたば)軍記流しの枝」、小中学生らによる舞踊「三番叟(さんばそう)」。地元住民ら約100人が訪れた。

 「寿曽我対面」は、曽我兄弟が父の敵・工藤祐経と出会う場面を描く。富士の裾野で行われる巻き狩りの総奉行を務めることになった工藤が討たれることを約束する物語で、役者の熱演に大きな拍手が寄せられた。

 観客(85)=同市=は「みなさん上手に演じられていて大変よかった。おかげで長生きできます」と話した。

 公演は後日、ケーブルテレビ・みまちゃんネルで放送予定。

 春日神社秋祭りの奉納芝居として江戸時代から伝わる。保存会は1977年に結成された。

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