今も住み慣れた場所を離れ生活をしている人たちは10月11日、何を思ったのか?それぞれの思いを胸に秘めながら警戒区域の解除を待っていました。
被災地の復興に関する話が出ないかと、足繁く熱海市議会の傍聴に通う太田滋さん。太田さんの自宅は土石流により全壊しました。
<太田滋さん>
「(行政代執行が始まり)少し気持ちが落ち着くのかな。これからの安全で、住民はもっと安心したいがそのためにしてもらえて有難いなと思っています」
現在は神奈川県湯河原町で避難生活を送る太田さんは、一日でも早く伊豆山に帰り元の生活を取り戻したいと語ります。
<太田滋さん>
「なるべく早く伊豆山に戻って、落ち着いた生活をしたいと思っています。伊豆山しか知らないし、他のところに行っても生活できないでしょうから、伊豆山で生涯は終えたいと思っています」
今も被災地は立ち入ることができない警戒区域に指定されていて、132世帯・235人が避難生活を余儀なくされています。2022年7月現在、熱海市が被災者に実施した聞き取り調査によりますと、伊豆山に戻りたいと考えている人は約5割。半数は、戻らない、もしくは考えがまとまらないと回答しています。
土石流災害で最愛の妻・路子さんを失い、熱海市内の仮設住宅で暮らしている田中公一さん。田中さんは妻と過ごした家には戻らず、伊豆山地区でも警戒区域外の外に当たる土地に自宅を立て直すことを決めました。
<田中公一さん>
「本当は先祖からここを受け継いだ土地だからここで生活はしたい。僕もここで生まれている。子どももここで生まれている。代執行終わって、いつから工事ができる?私なんか80になっちゃいますよ。本当に寂しいしか言いようがないよね」
土石流から1年3カ月が経過して、ようやく県が着手した行政代執行。災害の前に代執行を行うべきだったと指摘されている熱海市の斉藤市長は…。
<熱海市 斉藤栄市長>
「きょうの行政代執行は大変ありがたいことであり、スケジュール通り進むことを願っている。市としても、地元説明等、協力できるところはしっかり協力して参りたい」