「出島」国史跡指定から100周年 企画、写真展が開幕

国史跡指定100周年を迎えた出島和蘭商館跡=長崎市

 長崎市出島町の国史跡「出島和蘭商館跡」は12日、国史跡指定100周年を迎えた。江戸時代の長崎に築造された人工島で、鎖国期における国内唯一の西洋との貿易窓口として全国的に有名。明治時代に周囲が埋め立てられ内陸化したが、国内でも特異なその歴史と、扇形の島だったことがしのばれる現地の状況から、1922(大正11)年10月12日に指定された。
 現在は江戸時代の建造物が一部復元され、観光名所としてにぎわっている。この日は史跡内で記念式典があり、記念の企画展や写真展も開幕した。

◎国史跡指定100年 完全復元目指す 田上市長ら式典で祝う

 長崎市出島町の国指定史跡「出島和蘭商館跡」で12日、史跡指定100周年記念式典があり、田上富久市長をはじめ市や関係機関、同日開幕した企画展、写真展の関係者ら約60人が出席して節目を祝った。

企画展、写真展の開会テープカットをする関係者=長崎市、出島和蘭商館跡

 式典は史跡内の「旧長崎内外クラブ」で開かれた。田上市長はあいさつで、市が進める出島復元整備事業に触れ「当時をほうふつとさせる姿に復元が進んでいる。時間はかかるが、四方を海に囲まれた姿に戻していくことが私たちの使命」と述べ、完全復元を目指す姿勢をあらためて示した。
 式典では企画展「出島-1922▶2022」と写真展「出島の100年 写真とともに」の開会テープカットも実施。田上市長や市出島史跡整備審議会の植松俊徳会長(長崎商工会議所相談役)ら5人がテープにはさみを入れた。

資料などで出島の歩みや歴史的価値を紹介する企画展

 企画展、写真展は史跡内にある復元建造物で開催。企画展は出島からの出土品や東西交流史を物語る文物など約40点を展示し、史跡指定の意義や、出島の史跡としての歴史、価値を紹介している。12月18日まで。写真展は11月末まで。いずれも無料(別に出島の入場料が必要)。
 出島は江戸時代初期の1636年築造。41年からオランダ商館が置かれ、幕末の開国まで200年以上、国内で唯一西洋との貿易が行われていた。市の出島復元整備事業は1951年に始まり、これまでに計16棟の復元建造物が完成。市は国史跡の中でも学術的、歴史的価値が特に高い「特別史跡」への格上げ指定を目指しており、出島の価値を総括的にまとめて国に提出する「総括報告書」の作成に本年度着手した。


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