福井―滋賀を結ぶバイパス「栃ノ木峠道路」を国事業に 国道365号、8月大雨の主要道寸断踏まえ両県知事が合意

滋賀県の三日月大造知事(左)との懇談会であいさつする福井県の杉本達治知事=10月12日、滋賀県長浜市内のホテル

 福井県の杉本達治知事と滋賀県の三日月大造知事が10月12日、同県長浜市で懇談した。8月の大雨の影響で両県をつなぐ国道8号や北陸自動車道が寸断されたことを踏まえ、県境を結ぶ国道365号栃ノ木峠道路(約2.8キロ)の整備について、国による事業化を共同要請していくことで合意した。主要幹線道路の代替路を整備し、災害に強いネットワーク構築を目指す。

 福井県南越前町と滋賀県長浜市を結ぶ県境の国道365号は、滋賀県側は道路改良が進んでいるが、福井県側は急カーブが続き、幅員も狭く、冬季は通行止め区間となっている。8月の大雨では大規模な土砂崩れが起き、復旧見込みは2023年度中となっている。

 国道365号の西側にバイパスとして整備を検討する栃ノ木峠道路は、南越前町や長浜市でつくる国道365号改良促進期成同盟会が国や県に事業化を求めていた。両県の管理道路だが地質調査の結果、難工事が予想されるため直轄権限代行制度による国の事業化を求めていく。延長2.8キロのうちトンネルが約2.5キロを占め、想定事業費は約100億円。国直轄なら福井県の負担は3分の1程度に抑えられる。

 杉本知事は「複軸化、複線化の点から道路を強化していく必要がある。物流の面から滋賀県にもプラスが大きい」と協力を求め、三日月知事は「ぜひ一緒にやっていきたい」と応じた。国道8号の強靱化や、福井県若狭町から滋賀県へつながる国道303号の整備推進にも連携して取り組んでいく。

 地域鉄道の維持・活性化についても議論した。福井県はえちぜん鉄道や福井鉄道の再生を支援し、滋賀県は地域交通の維持に向けた「交通税」の導入を検討するなど、両県とも先駆的な取り組みを行っていることから、鉄道利用促進や経営改善のノウハウを共有していく方針を確認した。

 また、24年春の北陸新幹線福井県内開業に向け、同盟関係にあった戦国大名の朝倉・浅井家ゆかりの史跡や、湖を周回するサイクリングルートといった共通資源を生かした広域観光を推進していくことで一致。福井県が誘致を目指す大規模な木材合板工場に対する原木供給について両県で協力体制を築き、林業収益の向上につなげていくことでも合意した。

 両知事の懇談会は20年7月に南越前町で開催されて以来2年ぶり。

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