中村俊輔引退…「サッカー界最高のレフティ10名」

日本代表の「名レフティ」中村俊輔が、ついに現役引退を表明した。数多くの印象に残るキックを見せてきた彼は、左足から繰り出される精度の高いパスを武器とした選手だった。

今回はそれにちなみ、「世界の歴代最高の名レフティ10名」をご紹介しよう。

アドリアーノ

アドリアーノのキャリアはかなり短いものだった。それは彼自身のメンタルによるものが大きかったが、その僅かな間の輝きは凄まじいものだった。

中田英寿らとともにイタリア・セリエAのパルマで活躍し、大ブレイク。それからインテルへと戻り、エースストライカーとして絶対的な存在となった。圧倒的な身体能力、キャノン砲のような左足シュートで多くのゴールを量産していた。

数年間で問題行動のためにキャリアを切り上げられてしまったものの、ブラジル代表でも48試合で27ゴールを決めており、もしこのまま長くプレーしていたらと思うと…なんとも惜しい。

ロビン・ファン・ペルシー

アーセナルでアーセン・ヴェンゲル監督によってウイングからセンターフォワードにコンバートされ、「ティエリ・アンリの後継者」となったファン・ペルシー。20世紀のレフティストライカーでは最高クラスの一人だった。

もともとドリブルを得意としていたことからボールを自ら持ち込んでいくこともでき、左足からは凄まじい精度と威力を誇るシュートが飛んだ。マンチェスター・ユナイテッドに移籍した後も、1年目からクラブをプレミアリーグ優勝に導いている。

細かい怪我が多かったこともあってキャリアのすべてが順風満帆ではなかったものの、全盛期のプレーはまさに圧巻のものだった。

フェレンツ・プスカシュ

サッカーの歴史上最高のゴールスコアラーの一人である。ハンガリー代表で85試合に出場して84ゴールを決めており、今FIFAの年間最優秀ゴール賞「プスカシュ・アワード」にも名前を残している。

キャリアを始めたキスペシュトで177試合187ゴールを決め、その後スペインに亡命した後でレアル・マドリーに所属。すでに晩年になって体型も膨らんでいたものの、その左足には全く衰えがなかった。

圧倒的な得点力を示した「マジック・マジャール」のエース。それはあまりにも素晴らしい左足から生み出された能力だった。

メスト・エジル

この数年はやや晩節を汚している感もあるが、間違いなく2000年以降のサッカー界で最も芸術性の高いレフティであった。ゴールスコアラーではないものの、左足から繰り出す正確かつ意外なパスで多くのアシストを生み出した。

ドイツ代表でも2010ワールドカップで素晴らしいボレーを決め、大会の最優秀選手の候補にもなった。クラブレベルでもレアル・マドリーやアーセナルで長くそのテクニックを披露した。

シルクのように繊細なドリブル、そして致命的なエリアを見定めるビジョン、丁寧に味方へと合わせる正確なパス。全盛期の彼はまさに2000年代に突如現れた「ファンタジスタ」であった。

ダビド・シルバ

そして2000年代に現れた名レフティといえばダビド・シルバも見逃すことができない存在である。体格的には恵まれていないものの、試合のすべてを読んでいるかのようなポジション取り、そして決定的なプレー。それを実現する圧倒的な技術。

世界のトップを走ったジョゼップ・グアルディオラ監督にも愛され、マンチェスター・シティでも長く中心選手としての立場を確保。多くのタイトルをクラブにもたらした。

戦術面が大きな注目を集めた近年のサッカー界において、まさに「タクティクスとテクニック」「個と組織」をシームレスに融合させた選手であった。

アルバロ・レコバ

彼よりも優れた選手や、彼よりも成績を残した選手はいる。しかしレコバほど愛され、そしてインパクトが強かったレフティは数少ない。ウルグアイで生まれたアーティストである。

怪我が多かったこともあって継続的な活躍はできなかったものの、その軽やかなドリブルと、左足から繰り出される正確なキックは、誰もが魅了されるようなものだった。とにかく印象に残るプレーができる、楽しさを届けられる選手であった。

「天才レフティ」という名前が誰にふさわしいかといえば、レコバがそれに値するだろう。

シニシャ・ミハイロヴィッチ

センターバックでありながら、その左足から繰り出されるフリーキックで多くのゴールを決めたミハイロヴィッチ。ヴォイヴォディナ時代には驚きのシーズン11ゴールという記録を持っている。

またイタリア・セリエAで史上初となる「直接フリーキックだけでハットトリック」という記録も達成。ラツィオに所属していた1998年、古巣サンプドリアとの試合ですべてのゴールを左足で生み出した。

攻撃的なディフェンダーは今も時折現れるものの、彼ほどの得点力があるフリーキックを持つセンターバックは皆無だ。

ロベルト・カルロス

左サイドバックのポジションに革命をもたらしたといえる選手だ。圧倒的な太さの太ももを見れば、彼の凄まじいキック力は想像できるはず。さらに強烈なカーブも加わり、誰もマネできないボールを蹴ることができた。

1997年のフランス戦では、なんとアウトサイドで蹴ったボールが壁の外側を通って曲がりゴールに決まる…という「物理法則を無視したようなフリーキック」を叩き込んだ。これも未だに再現不可の技術である。

選手としてもチームとしても非常に多くの成功を収めた選手でもあり、ブラジル代表とレアル・マドリーで長く中心選手として活躍を続けた。

リオネル・メッシ

史上最高の左利きは、史上最高の選手でもある。リオネル・メッシは数多くのゴールを決められるエースでありながら、左足で多くのアシストができるパサーであり、そしてフリーキッカーでもある。

体格は大きくはないものの、その体に秘められた圧倒的な加速とアジリティ、そしてドリブルの技術とキックの精度はもはや誰も止められないほどのものがある。

現在は30台中盤になっているものの、今季はコンディションも取り戻して好調なパフォーマンスを見せている。あと数年間はその左足を見せてくれるはずだ。

ディエゴ・マラドーナ

そしてリオネル・メッシ以前の「世界最高の選手」ディエゴ・マラドーナもレフティだった。華麗なフットワーク、そしてボールを手足のように扱う技術により、相手の守備を翻弄し続けた。

アルゼンチン代表で生まれたあの伝説の場面『5人抜きゴール』は、1986年のワールドカップにおいて成功したもの。イングランド代表の選手たちを面白いように抜いて決めたものだが、そのタッチは左足によってのものだった。

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クラブレベルでの成績は492試合で258ゴールという数字にとどまっているが、そのプレーのインパクトは未だに比類なきものであった。

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