<3年越しの「舞」・YOSAKOIさせぼ祭り> 実行委 平島陽一さん・中村徳裕さん

コロナ禍で通常開催がかなわなかった2年間も「ステップアップの時間。得たものは大きい」と語る副実行委員長の中村さん=佐世保市山祇町

 新型コロナウイルスの感染拡大は、「YOSAKOIさせぼ祭り」にも大きな影響を与えた。2020年は開催できず、前回は演舞の動画を募って「動画祭」とした。実行委の副委員長、中村徳裕さん(62)はコロナ禍で通常開催はできなかったものの、2年間は「ステップアップの時間。得たものは大きい」と前向きに捉えたという。逆境をはね返し、新たなスタートを切る。
 新型コロナの影響で医療従事者など、参加がかなわない人もいる。前回の動画祭から引き続き、対面参加ができないチーム向けに「映像参加部門」を創設。今回も佐世保市の町おこしコンビのユーチューブチャンネル「佐世保ベース」ともコラボし、最終日の「ファイナルステージ」などを生配信する。「コロナの苦労がなかったら、新しい取り組みは生まれなかっただろう」と中村さん。
 踊り手だけでなく、運営側も3年ぶり。「0からのスタート」のうえ、コロナ対応が重くのしかかる。実行委は「新型コロナウイルス感染症予防対策ガイドライン」を策定して、本番に臨む。
 実行委員長の平島陽一さん(57)は、佐世保市生活衛生課長でもあり、仕事柄コロナ対策に精通している。感染防止対策を参考にしようと、県内外の数カ所の祭りを視察。名古屋市のよさこい祭りでは、踊り子は口パクで踊っていた。「現場の話がとても参考になった」と振り返る。
 させぼ祭りでも、演舞中のマスク着用は観客との距離を考慮して決めた。ただ、刻々と変わる国のコロナ対応にも振り回された。接触確認アプリ「COCOA(ココア)」をガイドラインに盛り込んだが、サービス停止の方針が表明されたため、参加者からは「どうするのか」などと問い合わせも。参加者に義務付けている検温日数の変更など柔軟に対応しており、「当日になってルールの変更もあるかもしれない」と平島さん。直前まで気は緩められない。
 今年8月、3年ぶりに本格開催された徳島市の阿波おどりでは、踊り手ら800人余りが感染した。「ルールを定め、しっかり守って実施する。窮屈ではあるけれども、スタッフもしっかり対応する」と語気を強める。平島さんは誓う。「必ず、来て良かったと思えるように。後悔はさせません」


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