岡山城天守閣貸し出し12月再開 多目的フロア拡大、映像設備導入

12月から利用できる1階「多目的フロア」のイメージ

 岡山城(岡山市北区丸の内)の大規模改修完了に伴い、市は12月1日、会社の懇親会や各種パーティーの会場として人気だった天守閣の夜間貸し切りサービスを2年8カ月ぶりに再開する。飲食ができる1階「多目的フロア」を拡大し、映像設備を新たに導入するなど利便性を高めており、来場者の増加を目指す。

 天守閣の地下1階~地上6階のうち、貴重な文化財を展示する2階を除く全フロアを閉館後の午後5時半~9時半に貸し出す。料金は1回10万円。原則100人までとし、1人でも利用できる。

 多目的フロアは改修前の2倍に広げ、プロジェクターやスクリーンを整備。映像を投影するなど壁面を使った演出を可能にした。冷蔵庫を備えた控室も設け、机やいすは新調した。施設内は火を使えないため、料理は配膳などを手配する。追加料金(4680円)を支払えば天守閣前広場も一体的に使える。

 天守閣は1945年の岡山空襲で焼失し、市が66年に鉄筋コンクリートで再建。活用を制限される文化財ではなく、施設の魅力アップの一環で2018年夏に夜間貸し切りサービスを始めた。

 会社の懇親会や結婚式の2次会といったニーズがあり、利用は18年度が33件(2071人)、19年度は38件(2440人)と好調に推移。城でパーティーができる意外性や独自性が受けたとみられる。新型コロナウイルスの感染が拡大した影響で20年度から予約の受け付けを停止し、そのまま大規模改修に入った。

 天守閣の貸し出し業務や国際会議などのMICE(マイス)の誘致活動を担うおかやま観光コンベンション協会は「利用者の満足度は高く、リピーターもいた。特別な場所で思い出をつくってほしい」としている。

 天守閣は11月3日にリニューアルオープンする。予約は既に受け付けており、1カ月前までに申し込む(先着順)。問い合わせは岡山城事務所(086―225―2096)。

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