キャンプの椅子と腰痛の関係を現役理学療法士が教えます!腰に優しいおすすめアウトドアチェアも紹介

「キャンプで長時間椅子に座っていると腰が痛い」「もともと腰痛持ちでキャンプが不安」といった人も多いのではないでしょうか。キャンプの椅子を選ぶときには、デザインや価格、持ち運びやすさなど、人それぞれ基準があるものですよね。今回はそこに「腰痛対策」という基準を提案してみたいと思います。現役理学療法士(リハビリの専門職)である筆者が、腰痛対策におすすめの椅子を厳選。腰痛になる原因や、キャンプでの腰痛対策とあわせて解説していきます!

キャンプ用の椅子は腰痛になりやすい要素がたくさん?腰を痛める原因とあわせて解説

腰痛の原因は様々ですが、キャンプ用の椅子に長時間座っていると「屈曲型腰痛」や「腰椎椎間板ヘルニア(以下、ヘルニア)」につながる可能性もあります。特に、すでに腰痛持ちの人は注意が必要です。

まずは、キャンプ用の椅子と腰痛との関係について解説します!

腰が丸まった状態が続くと屈曲型腰痛や腰ヘルニアの原因に

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腰痛には、腰をそらせたときに発症するものや、前かがみになったときに発症するものなど、さまざまな種類があります。

その中でも今回は、キャンプシーンで発症しやすいと考えられる「屈曲型腰痛」や「腰ヘルニア」について解説します。

まず屈曲型腰痛は、背中や腰の筋肉が過剰に緊張し、前かがみになると痛みが強まるのが特徴。症状がひどい場合、立ち上がる瞬間や重たいものを持った瞬間に強い痛みが走り、いわゆる「ぎっくり腰」にもつながります。

続いて、腰ヘルニアは、背骨と背骨の間にある「椎間板」という組織が腰の神経を圧迫して腰痛が生じるもの。

筆者撮影・編集

腰ヘルニアは腰の痛みだけでなく、脚の痛みやしびれにもつながる可能性も……。

屈曲型腰痛と腰ヘルニアは違った種類の腰痛ですが、長時間腰や背中が丸まった状態でいると発症しやすいという共通点があります。

また、屈曲型腰痛や腰ヘルニアを発症しやすい人の職業としては、下を向きながら力仕事をする人(介護や配送業など)や、デスクワークの人が多い印象です。

キャンプ用の椅子は腰が丸まりやすいのが特徴

筆者撮影

実は、キャンプ用の椅子は腰や背中が丸まりやすいものが多いです。特に、ロースタイル用の椅子やコットなど、座面が低い椅子に座ると腰が丸まりやすい傾向が強まります。

下の写真は、丸椅子とキャンプ用の椅子での姿勢の違いと、それぞれの腰の骨の状態を表したもの。

筆者撮影

腰の骨は通常、ゆるやかに反っているのが特徴(図左下の写真)。上図左上の写真ように高さがある椅子に座ると、比較的腰の反りを維持しやすいです。

一方、キャンプ用の椅子に座ると、背中全体が丸まってしまいます。腰や背中が丸まった姿勢が長時間続くと、腰の筋肉が緊張したり、腰ヘルニアを発症しやすくなったりします。

そのため、「腰痛を予防したい!」「すでに腰痛だけど悪化させたくない!」という方針でキャンプの椅子を選ぶ場合、腰や背中が丸まりづらいものを選ぶのがおすすめです。

腰痛対策におすすめの椅子!現役理学療法士の筆者が厳選したアウトドアチェア3選

ここまでの話を踏まえ、筆者が厳選した腰痛になりにくいアウトドアチェアをご紹介します。

ここでご紹介するアウトドアチェアは、座面が高めで、腰や背中の支えがしっかりしているもの。ただし、体格により感じ方は異なるので、店舗で実際に座るなどしてから購入するのをおすすめします。

腰痛対策におすすめのアウトドアチェア【1】LOGOS(ロゴス)『Tradcanvas ワークバックチェア』

1つめにご紹介するのは、LOGOS(ロゴス)の『Tradcanvas ワークバックチェア』です。

Tradcanvas ワークバックチェアは腰当てが付いており、腰が丸まりづらいのが大きな特徴。座高が46cmと比較的高い点も、腰痛予防の観点からは嬉しいポイントです。

また、アームレストが高い位置にあり、テレワークにも使いやすい仕様。腕を置く位置が安定するので、肩こりがある人にもおすすめです。

デスクワークにも良し、背もたれに身体を預けてのんびり過ごすのにも良しの、ハイブリッドな椅子と言えるでしょう!

LOGOS(ロゴス)『Tradcanvas ワークバックチェア』

  • サイズ:約高さ104×幅63×奥行80cm
  • 座面高:約46cm
  • 収納サイズ:約直径23×長さ104cm
  • 耐荷重:約150kg
  • 重量 :約5.3kg

腰痛対策におすすめのアウトドアチェア【2】Coleman(コールマン)『サイドテーブル付きデッキチェア』

続いてご紹介するのは、Coleman(コールマン)の『サイドテーブル付きデッキチェア』です。

サイドテーブル付きデッキチェアの座面高は、44cmと比較的高め。背もたれは肩甲骨の下端までですが、背もたれの張りがしっかりしているため背中を預けても安定しています

また、備え付けのサイドテーブルも使いやすく、アウトドアチェアとしての機能も◎。今回ご紹介する椅子の中でもっとも安価なのも嬉しいポイントです。

Coleman(コールマン)『サイドテーブル付きデッキチェア』

  • サイズ:約高さ77×幅87×奥行52cm
  • 座面高:約44cm
  • 収納時サイズ:約高さ77×幅16×奥行52cm
  • 耐荷重:チェア/約100kg、サイドテーブル/約5kg
  • 重量 :約5.5kg

腰痛対策におすすめのアウトドアチェア【3】THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)『TNFキャンプチェアスリム』

3つ目のご紹介は、THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)の『TNFキャンプチェアスリム』です。

TNFキャンプチェアスリムは座面がしっかりしていて、座ったときにあまり沈まないのが特徴。座面が沈まないと骨盤を立てやすく、腰も含めて背骨全体の姿勢を保ちやすくなります。

また、背もたれが長く背中全体を支えてくれるのもおすすめポイント。身長176cmの筆者の場合、肩甲骨の中間地点ぐらいまで支えられ、ゆったりと座れました。

アームレストが短いので、人によっては腕の置き場に困るかもしれません。ただ、スタイリッシュなデザインや腰痛予防の観点からは、高い評価をできる椅子だと感じました!

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)『TNFキャンプチェアスリム』

  • サイズ:約高さ84×幅51×奥行58cm
  • 座面高:約42cm
  • 収納時サイズ:約高さ100×幅16×奥行23cm
  • 耐荷重:約80kg
  • 重量 :約2.9kg

お気に入りの椅子を手放したくない人へ!キャンプ中にもできる腰痛対策を伝授

ここまで腰痛の原因やおすすめの椅子をご紹介しましたが、今使っているキャンプチェアが気に入っていて手放したくない人も多いはず。

そこで、キャンプ中にも簡単にできる腰痛対策をお伝えします。背中が丸まってしまう椅子でも、心がけ次第では腰痛を予防できますよ!

キャンプ中にできる腰痛対策【1】30分~1時間に1回は立ち上がる

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屈曲型腰痛や腰ヘルニアの共通点として、長時間同じ姿勢でいると発症しやすいとお伝えしました。

そのため、予防のポイントとしては同じ姿勢で固まらないこと。もっと具体的に言えば、腰をまっすぐにする時間をとることが重要です。

簡単に腰をまっすぐにするには、立ち上がるのが一番。立ち上がって軽くストレッチをしたり、歩いたりして身体を動かせばさらにGOODです。

ストレッチをするときの注意点としては、勢いをつけるなど急激な動きをしないこと。丸まった姿勢で固まった筋肉を急に動かすと、逆に痛めてしまう可能性があります。

ストレッチのコツは、徐々に筋肉を伸ばし、20~30秒キープすることです。そうすればストレッチの効果をしっかり得られ、筋肉の休息にもなりますよ。

キャンプ中にできる腰痛対策【2】重いものを持つときの意識も大切

筆者撮影

テントや薪、炭を運ぶなど、キャンプでは重いものを持つ場面が多いものですよね。設営中や荷物を持ったときに腰を痛めた経験がある人もいるのではないでしょうか。

腰痛の予防には、荷物を持つときの意識も重要です。何も考えずに荷物を持つと、腰に負担が集中して痛める可能性が高まります。

荷物を持つときの意識として重要なのは、以下の3つ。

  • 身体に近い位置で荷物を持つ
  • おへそを軽くひっこめる(お腹を軽くへこませる)
  • お尻の穴を締める

これらのことを意識するだけで、少しは腰への負担を減らせます。キャンプに限らず、日常生活でも取り組めるものですので、ぜひ実践してみてくださいね。

キャンプの椅子選びの参考に!腰痛対策もアウトドアチェア購入時の大切な視点

筆者撮影

今回は、キャンプチェアと腰痛の関係性について解説しました。

今回の記事は、腰が丸まるキャンプチェアを否定しているのではなく、椅子選びの1つの視点として腰痛についても考えてみようという趣旨で書きました。最終的には、キャンプ気分を盛り上げてくれる椅子が一番です!

今回の記事を参考に、ご自身にピッタリなキャンプチェアを見つけてくださいね。

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