広がる大パノラマ、南北朝時代の重要拠点 鯖江市・越前町の三床山城 福井県の城紹介「わが町のわが城」

三床山城跡のある山頂部からは、大パノラマが広がる
山頂部はのろしリレーの舞台にもなっており、3年ぶりにのろしが上がった=16日
鯖江市石生谷町、和田町、越前町佐々生

 登山初心者向けの山として人気を集めている三床(みとこ)山(福井県鯖江市・越前町、標高約280メートル)。14世紀の南北朝時代には戦略上の重要拠点であったとされ、抜群の眺望を誇る山頂部に築かれたのが三床山城だ。

 山頂は「三床山を愛する会」が中心となって整備。嶺北エリアの平野部や日野山や白山連峰など多くの名山が広がる大パノラマは絶景。南北朝時代には、北朝方の斯波高経(しばたかつね)と南朝方の新田義貞との合戦に伴って三床山城が築城されたと考えられており、高経が居城したといわれる。堀切や曲輪などの城跡が多く見られ、解説する看板が所々に設置されている。

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 登りやすい山であるため、1年を通してさまざまな風景を楽しめるのも魅力。6コースある登山道のうちの一つ、石生谷トンネルコースの道中には“もみじロード”があり、紅葉の季節には一帯が真っ赤に染まる。山頂では11月~2月に運が良ければ雲海を望むこともできる。また、2024年春に北陸新幹線が県内開業すると、新幹線が走る姿を眺めることができる。三床山を愛する会事務局長の舘庄司さん(74)は「登って、過去、現在、未来に思いをはせてほしいですね」と笑った。

三床山城

御床ケ嵩城とも呼ばれる。城跡は鯖江市と越前町の指定文化財になっている。

三床山を愛する会

鯖江市豊、吉川地区、越前町佐々生地区の住民でつくる。2014年に発足し、三床山の魅力を高めて地域活性化に取り組んでいる。

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